大学時代、男ばっかりのオタク系サークルの中の紅二点の、目立たない方だった。
もう一人の女子・A子は小柄で童顔で声は通りのいいいわゆるアニメ声、サバけた気持ちのいい性格だけど料理が下手という欠点もあるというとんでもない高スペック(一般的にはどうか知らんがオタク的には)。守ってあげたくなるというか、実際「あたしがこの娘を守ってやるんだ!」と思ってた。
A子萌え、という後輩に「A子オトしたいなら中ボスが私、ラスボスが○美ちゃん(A子の地元友)だと思え」と言ったら「そりゃ中ボス戦で死ぬわw」と言われたくらいだったし。
普段は同期のA子・B男・C男・自分の4人で行動することが多かったんだけど、A子のボケに的確にツッコむB男くんを好ましく見ていた。
恋愛感情じゃないよ、信頼と友情。
前述の後輩も、A子と一番近いマンションに住んでたD先輩も、他の人も、「A子は可愛いな」という態度を隠さなかった。そりゃそうだ、A子は可愛い。
けど、「A子は俺が『所有』できるはずだ」という態度もバレバレだった。特にD先輩。
そんな中で、A子に対する態度がモノに対するそれでなかったのがB男くん。そりゃ高評価にもなるさ。
私とA子が女同士友人であったように、B男とC男も友人同士。
で、A子とB男がなんとなくイイカンジなのを見たC男は何か勘違いをしたらしい。
どうせなら可愛くて、扱いやすくて、俺に従順な子がいいな。
A子タン萌えるよなー。腐女子だけど、だからこそきっと扱いやすいはず。
でもA子タンのそばにはいっつもD先輩がいるんだよなー。家も近いしいろいろ世話やいてるし、D先輩どう見てもA子狙いだよなあ。
D先輩はなんたって2年も先輩だし、サークルの実力者だし、逆らえないし…
でもカノジョが欲しい、『彼女もちの男』になりたい、あわよくばヤりたい!
でもサークル唯一の可愛い女子A子タンにはD先輩がいるし…
…
あ、増田も一応女だっけ。
A子タンに比べたらスペックはかーなーりー低いけど…まあいいか、穴はあるし。
A子-B男がペアっぽいから、当然増田は俺とペアになりたいはずだよね。彼氏がいない女なんて惨めだもんな。
男慣れしてない処女なら、ちょっとおだててやればすぐ「C男くん好き…抱いて!」って言うに違いない!
やった俺もついに脱童貞wwwうはwwwww」
「見てみてコレ、『(キャッチャー)は(ピッチャー)の女房役』だって!君たちはこういうのにモエーなんでしょ?」
「増田ちゃん、今度イベント出るの?俺呼び込みやってあげるよ。得意なんだ、昔ボーイスカウトで夏祭りのラムネ全部売り切ったことがあるから任せておいて!」
俺はキミを女として扱いますよ、賤民腐女子を差別しない心の広い男ですよ、というアプローチのつもりだったんだろうけど全部逆効果。
女をモノだと思ってるのがにじみ出てた。
私を勝手に「カノジョ最有力候補」だとしていたのはもちろん、「A子は(食われてこそいないけど(本当は俺が食いたいけど)、)すでにD先輩の『モノ』だ」って思ってるのも手に取るようにわかったよ。私の大事な友人をなんだと思ってるんだ。
A子はA子で、C男の態度に「私の友人増田をなんだと思ってるんだ」と思っていたらしい。私をオトしたかったらラスボスはA子。
ていうかさ、本当はA子がいいと思ってるなら素直にA子にアプローチしろよ。玉砕覚悟で。
本命高スペックを手に入れられないより、低スペックでも手に入れる可能性が高いほう、競争率が低い方を狙うのが得策、だから増田で我慢する。おれは確実な男だ。
最初からそんな志の低いことでどうするんだよ!
結果低スペックにも高スペックも手に入れられなかったわけですが。ざまあ。
卒業して数年たった今現在、私はC男とは一切連絡をとっていない。実に清々しい。
おととし、A子は偶然D先輩を見かけてしまい、震えがきてしまって動けなかったと言っていた。幸いB男がそばにいるときで、相手は気づかなかったそうでなによりだ。