2007-07-02

7年好きだった女にフラれた

 久しぶりに告白なんてしたからフラレてしまった。

パソコンに付けてるさ、テレビ会議カメラ壊れちゃったよ」

 にやにやしながら課長が話しかけて来る。お昼過ぎののんびりした時間だ。

「僕のWebカメラ使います?」

「いや大丈夫」

「そうですか」

「キミ使ってないのか」

「恥ずかしがりやですから」

 遠くで課長が笑っている。

 僕は自分のパソコンディスプレイに向かって今日30回目のため息をついた。

 彼女との出会い高校で、2年の時に彼女を知ってからは何となく目の端で追いかけるようになっていた。そして3年のクラス替えで同じクラスになり、席替えを2度して、その2度とも隣同士だった。その時からの付き合いだ。付き合いと言ってもただの友達で、どちらかといえば卒業してからの方が仲良くなった。

 きっかけは、彼女から留学してロングビーチ大磯ではない)に今いるというメールが届いてからだ。それから毎日のように(一時途絶えた時もあったが)メールをするようになった。もうあれから3年が経つ。僕は大学卒業し、社会人となった。メール以外では彼女が帰ってきた時には帰国祝いに飲みにいったり、銀杏BOYZの出るライブに行って騒いだりした。そしてそこで自分の好きな音楽や好きなお笑い芸人や将来の悩みやお互いの家族のことを話した。僕たちはあまり喋る方じゃなかったけれど、ぽつぽつと語り、だいたいのところで嗜好は一致していた。でも今思うと、僕が喋るのが苦手だから、彼女が無理にあまり喋らなかったんじゃないかという気がする。そんなメール帰国メール帰国という関係が続いていた。

で、告白のことを書く。

 2007年7月1日。きのう。彼女から誘われた相変わらずの激しいライブが終わって(彼女はなんでこんなにライブが好きなのか、この点よくわからなかった)のんびりとジュースを飲みながら渋谷NHK近くの花壇に座った。夜の10時くらいだったと思う。そして今日の余韻を味わいつつなんとなく切り出した。

僕は7年の月日を考えながら、ほんとにでもやっとだった。どうしていままで言えなかったのか、それはいままでのこの気持ちいい関係をただ壊したくなくて、そう壊したくなくてそれだけだった。怖かった。でももう僕のこころは色とりどりの風船を部屋にぎゅうぎゅうに詰め込んだみたいになって、どうしようもないところまで来ていた。そして社会人になって、行動に移すことの重要さの学んだから。

 答えはすぐ帰ってきた。いまはごめんって。ちょっと沈黙。僕は出来るだけ丁寧にタバコの火を消して、駅行こっかと最大の笑顔で言って立った。

 歩きながら、あーあふられちゃったなーというとごめんごめんと。謝られてもな。

 さすがに7年もこの瞬間のことを考えているとエラー発生時の処理も考え抜いていた。ついつい人は正常ルートばかり考えてしまうけれど、else文やdefault文といった異常系処理は忘れがちで、プログラムメモリ空間を漂い、システムダウンになりかねない。

結局いつもみたいにくだらない無駄話をしながら、渋谷駅に着いてしまった。井の頭線の改札の近くで握手しながらごめんごめんという彼女にいいよ大丈夫でも俺は好きだなんていいながら、お互いもう会えないのかなって考えてたと思う。

 僕は地下鉄に乗って、窓に映る哀れな自分を見つめながら、iPodからMy Bloody Valentineの曲を失恋ソングに選ぶことにした。



ねえ、もう、会わない方がいいの?

  • 憶測で言うよ。 彼女はその留学先とやらに彼氏がいる。だけどあなたのことも気になっている。ただあなたのことはちょっと物足りない。 いまはごめん 「いまは」って言ったのは彼女...

  • 本文はどうでもいいんだけど >ロングビーチ(大磯ではない) 何故かツボに入った

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