2007-05-16

http://anond.hatelabo.jp/20070516144741

いろいろ勉強されているようだから、著作権法ゲームが問題となったいくつか判例を紹介するね。

パックマン事件

東京地裁平成 6年 1月31日判決

影像をディスプレイ上に映し出し、極めて短い間隔でフレームを入れ替えることによってその影像が連続的に変化しているように見せる方法で表現されているビデオゲームパックマン」につき、著作権法2条3項にいう「映画効果に類似する視覚的効果を生じさせる方法で表現され」ているものに該当し、また、ディスプレイ上に映し出される影像がコンピュータシステム記憶装置(ROM)の中に電気信号で取り出せる形で収納されているのであるから、同項にいう「物に固定されているもの」に当たるとし、さらに、著作者の知的精神創作活動の所産が具体的に表現されているものであるから、同条1項1号にいう「思想又は感情を創作的に表現したものであって、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するもの」ということができるから、前記ビデオゲームは同法10条1項7号にいう映画著作物に該当するとされた事例。


三国志事件

東京高裁平成11年 3月18日判決

パソコンシミュレーションゲームについて、ディスプレイ上の影像の流れを楽しむことが主ではなくユーザー思考の積み重ねに主眼があり、ディスプレイに現れる影像及び効果音に関するデータ容量は極めて限られたものとなっているほか、影像は、静止画像が圧倒的に多く、同じ内容の定型的な画像及び効果音がたびたび現れるのであって、映画効果に類似する視覚的又は視聴覚的効果を生じさせる方法で表現されているとはいえず、映画ないしこれに類する著作物とはいえないとされた事例。

講学上、よく引き合いに出されるのがこの二つ。

パックマン事件ではゲーム映画著作物として著作権法による保護を認めたけど、

三国志事件ではこれを認めなかった。

これは一見矛盾するんだけど、実は、パックマンは画面がちょこちょこ変わるのに対して、三国志ほとんど画面が変わらないっていう理由で認めなかったんだ。

普通アクションゲームなら映画著作物として著作権法による保護を受けると思う。

こんなのもある。

ドラゴンクエスト2事件

東京地裁昭和62年 2月24日決定

ファミリーコンピュータゲームソフトウェア「ドラゴンクエスト2」を実行して表示される映像画面の掲載及び当該画面を掲載した雑誌の発売の禁止を求める仮処分申請が認められた事例。

(R)TKC

記事への反応 -
  • なるほど。ニコニコにしてもwinnyにしてもアップロードしてる人が法的には悪いのね。取締りしないのはなぜかな。 ありがとう!

    • 数が多すぎて把握しきれないからだと思いますよ! あと、「陰陽師」みたいに、宣伝わほーい!って思って 取り締ま“ら”ないいうパターンもまれにあるみたい。 特にゲームとか。

      • あと、「陰陽師」みたいに、宣伝わほーい!って思って 取り締ま“ら”ないというパターンもまれにあるみたい。 特にゲームとか。 ゲームってのが何を指してるのかによるけど、ビ...

        • 著作権法違反の罪は基本的に親告罪なの(そうでない部分も増やそうとしてるが)。 だから著作権法って本質的には「著作権法に規定された権利を侵害されてたら訴えてもいいよ」とい...

          • 著作権法が親告罪だってことはわかってる。でも僕もちょっとそこら辺を適当に書きすぎてた。補足ありがとう。 でも、僕が言いたかったのは、「ビデオゲームのプレイが一種の著作物...

            • いろいろ勉強されているようだから、著作権法上ゲームが問題となったいくつか判例を紹介するね。 パックマン事件 東京地裁平成 6年 1月31日判決 影像をディスプレイ上に映...

              • ありがとう。すごく勉強になった。 三国志事件より前にプログラムの著作物が著作権法で保護されるようになってるんじゃないのか、と思ったんだけど調べてみたら、原告が「映画ない...

            • 思想・感情の表現ではないので、著作物には当たらない。 この定義でいくと、新聞記事なんかも事実を伝えているだけなので著作物にあたらない、って言い訳が通るんだけどね。

            • >思想・感情の表現 ていうのは、同じことを描写しても人によって違う結果が出ることを言う。 この「同じ」「違う」というのがまた微妙なんだけどまあそれはちょっと概念として脇に...

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