http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070103-00000148-mailo-l42
日本有数の繁華街、新宿。年末にこの街を訪れた。夕暮れ時、サラリーマンや学生であふれていた。友人らと居酒屋に入ろうとしたが、どこも満員。4件目でようやく席が空いていたが「2時間制です」とくぎを刺された。
そういえば、長崎では師走に入っても客足は伸びず、どの店の店主も渋い顔だった。裏金問題で自粛気味だった県庁職員に「忘年会はやって下さい」と知事が異例のメールを送ることもあった。
都会への集中に歯止めが掛からない。人、金、そして教育も。人気が集中する都会の大学に進学するには、自宅から通学できる都会の若者が圧倒的に恵まれている。地方から都会の大学に子供を出すには家賃を含め、月10万円を超える生活費が必要になるからだ。
学力の前に親の財力が欠かせない。あるいは、親の犠牲と覚悟が必要になる。これも地方のハンディ、中央との格差なのだろう。
大みそかの長崎市浜町のアーケード街。深夜になっても明かりは消えず、時折、着飾った若者やカップルが行き交う。降りたシャッターの前に段ボール箱が並べてある。ホームレスの男性の寝床だ。
五十歳代の前半。中学を卒業して勤めた職場が数年前に閉鎖となり、以後、仕事はしていない。一度、この生活を始めると、抜け出すのは容易ではない。「住まいも携帯電話も持ってないんで雇ってくれる会社もない」
兄弟が多かった。「お年玉なんか、もらったことがなかった」と子供のころの正月を振り返る。
今の生活は、コンビニの期限切れの弁当を食糧に、昼は港のターミナルなどで寒さをしのぐ。夜は人けがなくなるアーケード街へ。「立ち去る前に使った場所をきれいにしておくことが礼儀だ」
酔った若者が千鳥足で通り掛かった。「あんなになるくらい飲んでみたいな」と男性は笑った。話すうちに午前0時を過ぎ、新年を迎えた。人通りも少なくなり、彼は“ベッド”に横になった。
過疎と集中。チャンスがある者と無い者。持てる者と持たざる者。年末、年始の華やかな時間にこそ「格差社会」を実感する。再チャレンジ政策も必要だが、一度もチャンスがない人たちがいることを忘れてはならない。