久しぶりに実家に帰ったら墓が無くなっていた。
いつものように家紋が刻まれた墓石のあるはずの場所に行くと、そこは更地になっていた。
後ろから婆の声が聞こえる。
「おじいさんは、今度はこっちに入ったよ」
見ると、そこにはマンションの表札みたく何人もの名前が刻まれた廟がある。
共同の永代供養塔に入れ替えたらしい。
まだ爺の名前は刻まれておらず、廟の脇に見慣れた墓誌がある。
「私が死んだら一緒に名前を入れてもらうから」
引き抜かれた墓誌についた土が生々しい。
Permalink | 記事への反応(0) | 16:23
ツイートシェア