いつもいつの頃か戻りたいと思えるほど眩しい夏があったような気がするが、よくよく考えてみるとそんなものはなかった。
どこか帰りたいと思える場所があるような気もするが、冷静になってみたらそれはどこにもない場所だ。
すぐに会いたいと思えるような人もいない。人は遠くにいて、時々懐かしむくらいがちょうどいい。
眠っている間だけ、ありもしない眩しい夏に、見たこともない帰りたい場所へ歩いて行って、会いたくないのに会いたい人に会うことができる。
死ぬことが本当に永遠に眠るということなのならよかったのに。
ツイートシェア