先輩の話を、鍋をつつきながら聞いていた。
後輩のプレゼンを思いきしダメだししてやった、という話だった。あれは調べたのか、そうは言えないんじゃないかと突っ込んだら、すぐにボロが出た、なんであんな作り方しかできない奴ばかりなんだ、と言っていた。
私は思い返していた。私がかつてその仕事をしていた時のことを。
先輩の前でプレゼンするのがすごく怖かった。先輩は厳しく、ビシバシ突っ込む人だ。知識レベルは先輩の前では素人同然な自分、こんなプレゼンではボロカスに言われるだろうと思った。そしてプレゼン当日。内心ビビりながらプレゼンをしたら、先輩は「よくできている。いい内容だから、もっと推していこう」と褒めた。内心拍子抜けした。なんだ、先輩意地悪だと思ってたけど、実は優しくていい先輩じゃん、と。
それから先輩と私は付き合った。あれは、ただの贔屓だったんだなと思った。周囲にはばればれだったんだろなぁと思う。
それは贔屓ではなく…