何よりも大切なものを手に入れた。
同時に、今後一生、消えることのない憂いを背負って生きていくことも覚悟した。
覚悟なんて大げさだけど。
所詮自分の悩みなんて、例えば、不治の病を抱えた人に、そんなことでと笑われるくらいちっぽけなこと。
けど、もうこれから先、心から楽しんだり、声を上げて笑えることはないかもしれない。
心から笑えないのは不幸な症状だと考えていたのだけど、それでも、今はこの身を幸せだと思う。
誰か困っている人、苦しんでいる人の力になるためにその身を捧げている立派な人がいるけれど、
どれだけ力を尽くしても苦しむ人は尽きないと知っていたはず。
そうと知って、それでも何の憂いもなく、
可笑しいとか楽しいとか感情のままの笑顔になれる瞬間ってあったのだろうか。
慈しみの微笑みなんかじゃなく。