あれ以来、空の色は深みを増して美しく映るようになった気がしている。
たるみきった暑さの中に忍び込む蝉の声が、ひどく懐かしく、視界は白っぽく煙っている。その光景が好きだ。汗をかきながら、日向を走っていく子どもの姿を追いかけて、静寂に沈む夏の町を歩いていくのが好きだ。
でもなんでこんなに苦しいんだろう。プールで潜水しながら空を見上げているみたいに、ただ静かでそして苦しい。
死にたい。死にたくてたまらない。そういいながら十五年を過ごしてきた。
身長は少しだけ伸びて、すっかり夏休みとは無縁になったのに、十五年前のままプールの底に沈んでいる気がする。
死ぬのが怖くなかったらいいのに。こんなに死にたいのに、どうして怖いんだろう。