月の綺麗な夜でした。
ベランダに出た私が月を見上げていると、はっはっはっ、という誰かの息声が聞こえました。
あたりは一面の雪。見渡すと裸の男の人がオナニーをしていました。
はっはっはっ。とても真剣にオナニーをしていました。邪魔をしたら悪いな。そう思った私はその姿を眺めていました。
はっはっはっ。はっはっはっ。はっはっハッ。
オナニーが終わりました。男の人は両手をぶらりと垂れて月を仰ぎ見ていました。
「何をしているんですか?」
「種をまいてるんだよ」
とても穏やかな声でした。
「寒くありませんか?」
「お手伝いしましょうか?」
「ごめんね。君じゃダメなんだ」
「そうですか。お役に立てなくてごめんなさい」
「いいんだ。その気持ちだけで嬉しいよ」
それじゃ仕事だから。そういって男の人はまたオナニーをはじめました。
はっはっはっ。はっはっはっ。はっはっはっ。
月の綺麗な夜でした。