2009-12-16

高校の頃、同級生から「お前はオタクだ」と渋い顔で認定されてから、自分オタクなのだと何となく意識しながら生きてきた。

そのときのその子の態度、口調、表情の端々から、非難の色が滲み出ていたので、オタクとは一般的に肯定されないものなのだと感じた。

それからオタク趣味を表にせずに過ごしてきた。

普通女の子の生活って面倒なものだな、と思いながら大学時代を乗り切った。

そうしたら段々とオタク趣味は薄れていった。だけど消えはしなかった。だから”自分オタク”という意識も消えなかった。

大学卒業し、正社員じゃないにしろ社会人になり、オタク趣味が始まった中学時代の友人らと久しぶりの再会を果たした。

彼女らは更なる進化を遂げていた。進化しすぎて前が見えない。


まず、ネットで用いられている言葉を当然のように用いる。

ちょwおまww とか、~~ですた、など、風化しつつある言葉も当然のように用いる。

また、「俺の嫁」という言葉を多用していた。

自分が女ならばそこは婿じゃないのか、という突っ込みはしなかった。

伴侶にしたいと思わせるほど魅力的なキャラクターに用いる常套句のだし、

何より「俺の婿」もしくは「私の婿」じゃ語感が悪いのだろうと勝手に思うことにした。

彼女らの嫁は複数いる。好きな作品が出来ればそれだけ増える。多分半年に1回くらい増えている。

果てなく増える逆ハーレムが羨ましいことこの上ない。それだけ惹かれる人物に出会えるのは素敵なことではないだろうか。

(しかし、嫁になる基準のひとつ、そしてもっとも大きな基準を担当声優とするのは頂けない。

これは彼女らが声優オタクになった頃から思っていたのだが、担当声優があの人だからこのキャラクターが好きというのは失礼なのではないかと思う。

キャラクター自身は勿論、その作品を作った方々に対して、そして担当声優の方に対して。

「リナの声が林原さんだから、声優が同じである綾波レイが好き」と以前友人が言っていた。

どちらも作品の中で段々と魅力を増していったのに、声優が同じだから好きだという。ましてや、この2名の場合は性格がまるで違うのに)

友人の一人はこの3月まではニートのような生活をしていたが、やっぱり昔からの夢を追いたいからと言って、4月から声優の育成学校に通い始めた。

また別の友人は、パートで働きつつ、地元イベントmixiなどで企画されたオフ会に参加。今はダンス情熱を燃やしているようだ。

布代に給料を費やし、寝る間も惜しんでコスプレ衣装を作り、イベントがある度にその姿を披露する友人もいる。


正直、今の私には、イベントに行く情熱すらない。欲しいゲームを買って、遊んで、感想を書き込む。それだけで精一杯だ。

このように、未だに色々と活動している友人を見ると、私はそこまでオタクではないのか、と錯覚する。

そして、自分趣味のために生きられる友人らを羨ましくも思う。

少し前まで、私はこの友人らを、自分未来をまともに考えない人たち、と馬鹿にして、見下していた。(自分だって同じ穴の狢のくせに)

だけど、オタクな話をする友人らは心底楽しそうだった。

私は楽しくないわけではなかったけど、彼女らほど楽しめてはいなかったのではないかと思う。

先日の忘年会の際、上司に「若いんだからもっとはっちゃけろ」と言われたが、こういうことなのだろうか。

自分未来が怖いから、色んな勉強をするより、今楽しめることを楽しんだ方がいいのだろうか。

(だけど、今を楽しむと後悔することになるのは経験上よく分かっている)


彼女らの生き方を羨ましく思うけど、だけど私は彼女らのような生き方は出来ない。同じオタクでも。

そう考えたら、自分がとてもつまらない人間のように見えてきた。それでも今を楽しんでリスクを増やすような生き方は出来ない。

私にとってゲームを初めとするオタク趣味は、心身を癒す「ただの趣味」だけど、彼女らにとっては「生きがい」そのものだ。

私と彼女らの違いは、たぶん尊重するべき違いだ。

私がオトナのふりをして、もっと将来のことを考えなさい、というのは失礼にあたることなのだろうと思う。


帰りの電車の中で、友人の1人私に言った。

「今からでも夢を追っていいんだよね」

私は答えた。

「夢はいつから追ってもいいものだよ」

この言葉には、「失敗した際の後始末を全て自分で出来るのならば」という枕詞がつく。

彼女がこの言葉に気づかないことを願うばかりだ。

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