鳩山の次が誰になるか予想がつくまではという話だったが、trust meとまで言った普天間をひっくり返したことで、堪忍袋の尾が切れたようである。慌てて話を進めても、恫喝すれば何でも言う事を聞く芯の無い嘘つきという評価を裏付けるだけだし、やっぱりできないと開きなおれば、日米同盟終了という事になる。
逆の場合、つまり、中国軍や南鮮軍が日本に武力侵攻を仕掛けてきた時に、外交ルートで連絡を取って日米安保条約の遂行を要請したら、アメリカ大統領がtrust meと言ったのに、米軍は動かず、やっぱしあれ無しねとひっくり返されたら、どうなるかを考えるだけの想像力があれば、ここまでこじれなかったろう。民主党の人々は、都合の良い夢想はしても、最悪の事態を予想する慎重さが無い。
フィリピンや南鮮が、反米をやった結果どうなったのか、ちゃんと実例があるのに、民主党は反米をやってしまっている。それも、意思を表明して行動するのではなく、言葉と行動が正反対という、一番信用を失う行為を行ってしまっている。
日米同盟を終了させるのであれば、日本は通常兵力だけでなく、核武装を含めた、軍事力の強化をしなければならない。ロシアや中国といった核保有国と国境を接する以上、どこかの核保有国の勢力下にはいるか、自力で核を保有するしか、自国の独立を維持する事は難しい。インドや北鮮が核保有に走ったのは、核保有国である中国との関係が悪化した為であり、他の核保有国から核の傘を得られなかった為である。日米同盟を終了させ、アメリカの核の傘を失う以上、日本も核保有をしなければならないであろう。
さらに、米軍を沖縄から追い出しても、沖縄は対中国の最前線である事は変わらない。米軍以上の規模で日本軍を駐留させなければならないし、錬度を維持する為の演習や離着陸訓練も、新兵訓練を米本土で行っている米軍と違って、それらの基地やその周辺の演習場で行うようになるから、頻度も量も危険性も増加する事になる。
軍事同盟の相手としてのアメリカは、核保有国の中では一番良い選択である。中国もロシアも、有史以来2000年間国境が存続し続けたという一点において、仲良くなれない関係となっている。彼等が日本と仲良くなれるような民族性であったら、国境はもっと昔に消滅していた。そのチャンスは、最近では第二次世界大戦中にあったが、アジアを理解していなかったアメリカが横槍を入れてきて、今の状況を作ってしまったと言える。
アジアに先進国レベルの契約や道徳が通じると思い込んでいるリベラリストが、問題の元凶といえる。当時も、そして、つい最近も、ジャパンバッシングの挙句、グローバリゼーションを実行して、混乱をおこしている。
日本の民主党政権の成立は、ジャパンバッシングからグローバリゼーションへと展開してきた世界の経済構造の変化に対し、自民党政権が対応できなかった点に起因する。地盤の利益代表に堕し、国益や世界の変化といった現実を見ない田舎代議士がのさばってしまい、変化に対応できず、時間を浪費した挙句、自民党でさえなければ誰でも良いという批判票によって、民主党政権は成立してしまった。
民主党には、政権担当能力が無い事が明らかになっているし、田舎代議士の寄せ集めであることを止めない限り、自民党に再生の芽は無い。
鳩山の首でケジメをつけて、民主党内での首相の椅子のたらいまわしを行うことになり、次の参議院選挙では、衆参のねじれ状態を作り出すことになる。自民党が田舎代議士の寄せ集めのままであっても、参議院では、民主党に対する批判票によって、それなりに勝てるという事である。
この場合、民主党は衆参同時選挙に踏み切るであろう。国民の批判票が参議院に行き、直近の民意という錦の御旗を参議院に奪われるくらいならば、同時選挙で優先権のある衆議院での勝利を維持する事に賭けた方が、分の良い賭けになるのである。鳩山氏の次の首相は、小沢氏のpuppetとして、余計な事を言ったりやったりしない無能で無害な人になるであろう。民主党には、無能で有害な人ならばたくさんいるが、無害な人というのは、意外と難しい。誰も思いつかないのであった。