絶賛現実逃避中です。
さて、今日はリクエストのあった、新司法試験の出題趣旨についてコメントしたいと思います。
と思ったんですが、今年のは受けてないので、新司法試験について一般的なあたりを述べてみたいと思います。
旧試験は、大卒なら免除になる一次試験の後に、択一と論文からなる二次試験、最後に三次試験として口述試験がありました。
そして、択一の合格発表は論文試験前に出るので、択一対策と論文対策を分けて行うことが出来ました。
しかし、新制度では、一次試験と三次試験がなくなった代わりに、択一と論文を同日程で行うこととなりました。
そして、択一の出題範囲は、旧試験では上三法(憲法、民法、刑法)だったのに対して、上三法に加えて、商法、民事訴訟法、刑事訴訟法、行政法も出題範囲に加わっています。
論文科目についても、行政法が加わっていて、さらに、専門性のある科目が選択科目として追加されています。
論文では、公法系、民事系、刑事系、選択科目について、それぞれ3~4時間かけて、超長文の問題を扱っていきます。
そして、ロースクール卒業後5年以内に3回しか受けられません。
よく、新司法試験の合格者は、旧試験の合格者より質が劣る、という言説が聞かれます。
実際に、今の司法試験の合格率は非常に低く、合格者が少ないので、質が高いのは間違いありません。
もっとも、以下のような事情もあります。
つまり、新制度では受験回数の制限があるので、記念受験などあり得ないが、旧試験ではそういう受験生が多い。
また、上述のとおり、試験自体が過酷になっていて、法律知識以上に、高度な情報処理能力が要求されている。
そう考えると、言うほど質が粗悪というわけでもないような気がします。
そして、質が低いの一例としてあげられている、2回試験の合格率の低下ですが、これもおかしい。
というのも、質が低いと言われ出したのは、司法試験の合格者が増え始めた時期ですが、これは同時に、司法修習の期間が短くなった時期でもあるのです。
また、かつては司法修習は2年間でした。それが現在では1年です。身につけるべき事項は、新制度の施行とともにどんどん増えていきます。
もっといえば、「弁護士と1度酒を飲みに行ったら就職が決まった」というようなかつての牧歌的な就職状況とは違って、現在では、弁護士業界は超氷河期です。
出来なくなって当たり前のような気がします。