涼宮山ハルヒは、黙ってジーッと座っている限りでは、いち美少女高校生、
その一方で黙ってジーッと座っていなくとも力士高校生であった。
先ほども言ったが、俺の視力と脳は至って正常であるからして、
そう述べるにはそれなりの理由というものがあるのだ。まあ聞け。
どう見ても力士輪郭なのにどう見ても掛け値なしの可愛い顔に見えてしまう、
というのがヤツを見たときの感覚だ。もちろんこれは俺だけが持つモノではなく、
ヤツを目にした人間は全員このキモチワルイ矛盾した感覚を持つ。全くもって不可解なことだ。
後に聞くところによると、あまりに不可解すぎて、この現象は早くも5月の時点で、
喜べハルヒ、不思議人種を欲するお前自身が不思議人種に認定されたぞ。
ちなみに「本来の7つは何だ」とその噂を俺に知らせたクラスメイトに尋ねると、
「あと1つ、『消えた部活動』しか知らん」という答えが返ってきたんだがまあそこはどうでもいい。
まずは体格か。
はっきり言おう。巨体だ。……いや、あれを巨体と言うにはいささか難点がある。
本来の巨体とは、こう、縦と横が揃って高く、伸びている体型のことだと俺は認識している。
ハルヒは、決して高くはない。むしろ縦に関しては低い方だ。ただ、横に太――ああいや、
ふくよかだ。ひたすらふくよかなのだ。丸い、というよりはなんと言うか、むしろ山――いや違う、
……えーと、プリン! そう、アレはむしろプリンの形状に近いものがある。
こういう体格を世間一般的になんと呼ぶのかは、不勉強にして知らぬ――ということにしておいてくれ。
不用意な発言を避けるジェントルメンな俺である。むしろ余計に露骨になった気がするのは錯覚だ。
それはまあ置くとして、次は服装だな。
うちの高校――北高は古式ゆかしく制服を重んじる高校であるため、
女子は指定のセーラー服を着用することになっているので、ハルヒも勿論それを着ているのであるが……、