2007-10-20

不気味の谷

機械のような人間人間のような機械に相対したとき、人は好奇心か、嫌悪か、感動か、何らかの感情を引き起こすものらしい。走るようになったホンダASIMOトランペットを吹くトヨタロボット子供たちの人気者だし、大人さえ惹きつけられずにいられない。また、道化師人間未満の存在として軽蔑されていたが、派手な衣装や行動で人を楽しませるだけでなく、無礼な言動を自由に発することが許されていたと言う。

人間未満の「何か」への嫌悪の感情は、ロボットに対する「不気味の谷現象」道化に対しては「道化恐怖症」なるものが知られている。

初音ミク奇妙な透明感のある歌に「感動」する人たちがいる。そしてまた、人工的な合成音声の歌を、激しく「嫌悪」する人もいる。音楽に対する感情はとても主観的なものだから一概には言えないけれど、アトムのようなロボットを実現する困難さに比べれば、聴覚だけが不気味の谷を越えたボーカロイドは、はるかに容易に実現できてしまうのかもしれない。

ところで、ロボット研究を突き詰めていくと、「人間とは何か?自分とは誰か?」という、自分自身をめぐる問いに直面せざるを得ないのだという。機械のような人間を、あるいは人間のような機械を、峻別し、嫌悪したり、称賛したりする僕たちはいったい誰なんだろう?

  • 言いたいことはわからないでもないけど、 聴覚のみの不気味の谷などあるのか、これは難しい問題。 CDに焼き付けた人間の音声はデジタルだし、ボーカロイドといえども声優さんのコピ...

    • >なぜ機械を人間に似せて作るのか。 人間との感情的なインターフェイスとして人型が優れているから。むしろそれ自体が決して人格を持つことがない人型の機械のほうが、所有者自身...

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