2017-08-06

会社ストーカーがいた

もう何年も前に終わった話。

でも、同じことで苦しんでいる人のために書き残しておく。

ストーカー騒動の時に、しっかり対応してくれた会社には感謝している。

から迷惑かけないように、多少フェイクを入れて書く。

個人会社特定するのは無理だろうけど、話の大筋は変わっていない。



会社に勤めていた時、社内にストーカーがいた。

その当時、私は経理系のパート

ストーカーは、他部署派遣だった。


会社は365日営業していた。

部署によっては平日だけのところもあれば、土日祝も営業しているところもあった。

そのため、経理も基本は週7日営業シフト制だった。

ストーカー部署は、繁忙期だけ週7日営業をする。

そして相手部署フリーアドレス採用していた。だから座席毎日自由に変えられた。

そういったこともあって、付け回されているのに気づくのが少し遅れた。


最初は、よく挨拶してくる人だなと思っていた。

経理はたくさんの部署と関わる。

挨拶をする相手も多くて、その時点ではただの丁寧な派遣さんという印象だった。


私が結婚しているという話は、相手も知っていた。

ストーカー本人に、休日は何をしているかと聞かれて「旦那デート」と答えたことがあるから、知らないはずはない。

そして、ストーカー自身も既婚者だった。

これも本人の口から聞いたし、他の人も言っていたから確実な情報だ。


ストーキング気づきはじめたのは、勤めはじめてちょうど1年経った頃。

会社にも慣れて、どの部署が何をしているか、その人がどういう仕事をしているのか。

そういったことが、おおよそ理解できた時期のことだった。


気づいたきっかけは、挨拶を交わす頻度と遭遇回数の多さ。

他の人と比べて、挨拶する回数が多過ぎた。

いくらフリーアドレスと言っても、さすがに変だと思った。

ある日、会って挨拶する回数をカウントしてみたら20回を越えていた。他の人は多くても8回だったから、あきらかにおかしかった。


そして、少しずつ馴れ馴れしくなってきてもいた。

ただ挨拶を交わす相手だったはずが、ある時期から肩を叩いてくるようになった。

軽く叩くだけだったけど、なで方が変というか、どこかねっとりとしていて気持ちが悪かった。

何となくブラ紐の位置確認されている感じがあって、この時点でようやくヤバイ相手だと認識するようになった。


ヤバイと気づいてからストーカー確信するまでは早かった。

いちいち体をさわってくるから、こっちとしても会いたくない。

から相手がいる場所をできるだけ避けるようにしようと思った。

でも、その人はいつも経理席の近くに居座っていた。

経理席は、給料情報の他にも個人情報が山ほど置いてあるから、そこだけパーテーションで区切られていた。

そしてストーカーは、いつもパーテーションの出入り口確認できる場所仕事をしていた。


これは確実に見張られている。

私が経理から出れば、きっとついてくる。


そう思って、その日はお腹が痛いとウソをついて、タイムシート回収の仕事を同僚に頼み、一日外に出ないようにした。

出るのはお昼の時だけ。

ストーカーは、私が一人でいる時しか寄ってこないから、休み時間は同僚と行動を共にした。


異変があったのは、終業時間30分前のこと。

今日はやり過ごせたなと胸をなで下ろし、ちらっと時計を見た時、パーテーションの隙間に黒いものが見えた。

あんなとこに何かあったかな?と見てみたら、それはストーカーの目だった。

私が外に出てこないのに焦れたのか。休みか早退とでも思ったのか。私がいることを確認しにきたらしい。

青いパーテーションの間から見えた目が不気味で、背中鳥肌が立った。


正直なところ、何で私が狙われているのかわからなかった。

経理には、モデルアイドルかという評判のかわいい子がいて。社内の男性は、ほとんどその子狙いだった。

の子が狙われるのなら、きっと誰でも納得するだろう。

けど、30過ぎた既婚者の私が狙われる理由が、この時は全然からなかった。


この日から、しばらく地獄が続いた。

なるべく一人にならないよう。

経理席の外に出ないよう。

用事で出たとしても、基本は駆け足で移動した。

経理は、たくさんの締め日と締め時間があったから、走っていても違和感がない。

でも、ストーカー部署はそこまで忙しくないから、もし走っていたら違和感がある。


相手は走ってまで追いかけてこない。

もし走ってついてきたら、誰かがおかしいと気がついてくれる。

そう信じて、1ヶ月くらい走りながら仕事していた。


自分でも、うまくやり過ごせていたと思う。

でも、精神的な限界が思っていたより早くきた。

毎日毎日、じっと見張られている。

視線を受けているのがこんなに疲れるなんて、思ってもみなかった。

外で同僚と一緒に作業していても、触れるか触れないかという距離を歩いていく。

一緒にトイレに入っていくと、廊下足音が通り過ぎていく。

ストーカー足音は独特で、また来たというのがわかってしまう。

一人でいるところを見つかれば、ものすごい勢いで歩いてくる。

慌てて知り合いに声をかけ、どうにか立ち話に持ち込むと、ゆっくりゆっくり時間をかけて隣を歩いていく。


怖くて、気持ち悪くて。

会社に行くのが嫌になって辞めようかと思い、ついに上司相談した。


はっきり言って相談するのは嫌だった。

30も過ぎたというのに、人間関係のいざこざを処理できないことが恥ずかしかったし、情けなかった。

すごくいい上司だったから、呆れられてしまうんじゃないかと思うと、なかなか言い出せなかったのもある。


でも、上司の反応は想像していたのと真逆だった。

もっと早く言いなさい」と私を叱って、すぐに部署会議をはじめた。

まず仕事の割り振りを変えてくれた。次の日から、私は経理から出なくていいようになった。

いつも誰かが私といるように配慮してくれて、シフトまで変更してくれた。

そして「こういうのは、大ごとにするべき」という方針を立てて、上に掛け合うために経理全体で証拠を集めることになった。


私は「なんとなく見られている」というのは、とても証拠にならないと思っていたけど、上司の考えは違った。

就業中は、経理全員がテキストファイルを起動し、その人の動向を記録していく。そうすれば、必ず異常性が浮き上がってくると言っていた。



次の日から、記録付けがはじまった。


○○:×× 経理席の前を通り過ぎていった。

○○:×× 経理席の前で印刷したファイル確認していた。ちらちらと増田さんの席を見ている。


こんな感じの記録を10人がかりで残していった。

最初、1週間続けるという指示だったけど、2日目で方針が変わった。

十分過ぎるくらい証拠が集まったからだ。

なんとストーカーは、多い時は2分に一回のペースで私の姿を確認しにきていた。


こりゃまずいぞと、上司が私を引き連れて、ストーカー上司とかけ合ってくれた。

10人で残したメモを見た相手上司は、「これは……」と言ったまましばらく黙って、どこかに電話した。

しばらくしてやってきたのは、システム管理部長係長

この人達事情を話して、PC経由でもっと証拠を取れないかと聞いてくれた。

どうやら派遣会社に掛け合うために、動かない証拠が欲しいようだった。


すると、システム管理係長が、試したいソフトがあると言ってきた。

フリーアドレスを利用する人は、ノートPCを使っている。

そして、離席する時はノートPCスリープにするという規則があった。

ストーカーノートPCに、フリーアドレスを利用して、サボっている人がいないか確認するためのソフトを入れたい。

いろいろと難しい説明だったから私には理解できなかったけど、それを入れたら、ストーカーの離席の頻度がわかるという話だった。


ソフトは、その日のうちにインストールされた。

表向きはアンチウイルスソフトテストで、各部署の数人だけランダムに選んだということにして、ストーカーノートPCインストールした。


そこから2週間の間。

ログを残すために、経理席でじっとしていた。

ストーカーがよく覗きにくるパーテーションの隙間は、上司がどこからか持ってきた広報用のポスターで全部潰した。

経理席の席替えをして、入り口から見えないようにもした。

ストーカー上司のはからいもあってお昼時間もずれたし、シフト情報共有もあったから、お互いの出勤日が被らないようになった。



2週間後、システム管理から連絡が来て会議室にいった。

結果は黒。というか真っ黒。

私の休みの日のログだと、1時間のうちに5分も離席していなかった。

ところが私が出勤していると、1時間のうち40分も離席していた。


ストーカー上司は即座に派遣会社担当を呼んで、ストーカーの勤務実態を伝え、月末で切ると通告した。

私に害があってはまずいからと、基本は離席時間の多さからサボりということで呼び出し、もう今月で辞めてくれと言ったらしい。

そうしたらストーカーは「ただの休憩です。最近、友人関係で悩んでいて……。今後は改善するから辞めたくないです」とすがりついてきた。

派遣担当も「必ず改善させる。せめて契約期間まではお願いします」と言ってきた。


それで仕方なく、あくまストーカー上司が気づいたという体で「いつも経理席の近くをうろついているのはなぜだ?」と聞くことにした。

最初は、一向に口を割らなかったけど、じわじわ証拠を出して追い詰めていったら、やっと「増田さんと仲良くなりたかった……」と言い出したらしい。


きっかけはタイムシートを返す時に、少し話したというだけ。

私は、他の人にもするように単に返しただけだったけど、ストーカーにとっては「俺に気があるように笑っていた」ように見えたんだとか。

ストーカー上司が、「お前、嫁さんいるだろう?」と聞くと「会社のことは嫁には関係ない」と。

そして「増田さんならわかってくれる。彼女と話したいから呼んで欲しい。彼女の誤解がとけて仲良くなれば、もう仕事中に離席はしないから、このまま働かせて欲しい」と意味わかんないことを言ったらしい。


それでストーカー上司激怒して「会社仕事する場所であって、不倫をする場所じゃない!」って、その日に派遣切りして終わった。

派遣担当者はもう頭を下げまくって、ストーカー荷物を一緒にまとめて引き取って行ったとか。

いちおう誓約書のようなものも書いてもらったとは聞いたけど、私には見せてはもらえなかった。


ストーカーは社内の付け回しだけで、勤務後は追いかけてきてなかったからこっちの住所バレはしていない。

しばらくは派遣会社内で働かせて監視する。もし、逃げたらこっちにも連絡すると言われて以降、まったく連絡はなく。1年経ってから念のために確認したら、まだそこで働いているということだった。


上司達の対応は、すごく早くて的確だった。

これについては感謝してもしきれない。心からありがたいと思っている。


もし、いまも社内ストーカーに苦しんでいる人がいれば、メモでいいか証拠を残すことと、一人でも多くの味方を作ることを勧めたい。

会社って逃げ場がないから、悩んでいる間に追い詰められていく。

気がついたら、声を上げることが難しくなっていたりするから、早めに動いた方がいいと思う。

勘違いかもしれないから、一緒に確認して欲しい」って言えば、協力してくれる人が出て来る。次から、悩む前にそう言って味方を作れと上司に言われた。

もちろん、頼れる上司ならさっさと相談するのが一番いい。



あれから5年経つけど、ストーカーとは一度も会っていない。

上司達のおかげで、完全に撃退できたと信じている。


ストーカー心理は、いまも謎だ。

同僚がFacebookをやっている人で、ストーカー派遣切りされた日に、なんとなく検索したらアカウント発見し、記事を読んだらしい。

そうしたら、その日の夜に嫁さんと仲良く食事している写真がアップされていた。

私のことをストーカーしている期間も、ずっと嫁と仲良くしている写真がアップされていて、友達からコメントは「相変わらず仲がいいね!」で埋まっていたんだとか。


異常なまでに追いかけてきていた人が、家に帰ると嫁と仲良くしているのが理解できなくて、この話が一番ゾッとした。


たぶん、私とのことは恋愛以外の感情だったのかな。

まさに異常行動だったんだなと、そんな風に思っている。




追記を書きました。

会社ストーカーがいた(追記)

https://anond.hatelabo.jp/20170807191723

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