劣等感に囚われて虎になってしまったみたいな話があったように思うが、自分は「人肉の味を覚えた熊」になってしまった感がある。
基本的には臆病で、ひとりで暮らしながら付かず離れず慎重に慎重に人里の様子を伺っている。
ときにふらふらはぐれて出てきた人間に突如猛然と襲いかかって食い散らかして、また距離を取る。
過去一度だけ居心地の良い集団に属したことがある。あの集団は熊に餌付けをしてしまった後悔を感じているだろうか。
あの味を知らなければ、ひとりで生きてひとりで死んで、誰を恨むでもなく土に還れたのに。
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