2024-02-28

ガラスの靴を渡せないまま君は…

八月に約束したことを覚えています

あの暑い暑い日のことを



君は靴を片方だけ脱いで

「いつかこの靴を返しにきて」と

笑ってみせたこ


秋も冬も過ぎました

またいくつかの夏が来ました

私はずっとそれでも

あの時のまま靴を

靴を預かっていました



時がたち

君は変わってしまいました

久しぶりに会った君はふっくらして

少しだけしわが増えたみたいでした



から私は靴なんて

ガラスの靴なんてもう必要ないなと

思ってそれでも捨てるのは辛いので

どこか世界の片隅へ

そっと置いておくことにしました



八月の約束を覚えていますか?

どこまでもどこまでも

反射していた

あの靴のガラスの光を

いつか迎えにいこうとしたこと

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