2022-09-14

楡の歌

切り株があった

断面の瑞々しい切り株

まだ死んだわけではない切り株


森の中の広場

その切り株はあった

夏の朝の日差しの中

どこにも影なんてない

太陽も見当たらない、枝葉を縫って、光だけが降り注いでいる


蝉の声も聞こえない

生き物の声も聞こえない

どこかから吹く風が

時折枝葉を揺らすだけだ


誰かがおとなうこともなく

その樹木は息をしている


誰かが伐り倒した切り株

息をしている

風が吹いている

記事への反応(ブックマークコメント)

ログイン ユーザー登録
ようこそ ゲスト さん