2021-12-09

いたいのいたいのとんでいけ

その瞬間、いたいのいたいのは飛ばされた。

ジェットコースターみたいに天と地がぐるぐる入れ替わりながら飛んでいる。

気付けばジャングルの奥深くにいた。

悲鳴のような鳥の鳴き声。

じっとりとした湿っぽい空気

鼻腔を突くような得体のしれない香り

まただ。

また飛ばされた。

そもそも、なぜ飛ばされなければならないのか。

痛くなったのは誰のせいだ。

呼ばれたから行っただけだ。

なのに飛ばされる。

すぐに飛ばされる。

痛みは悪いことばかりではないだろう。

痛みによって危険を学び、

痛みを乗り越えて強くなるのだ。

痛みがなければどうなる。

血が流れても、骨が折れても気が付かない。

命を失うまで気が付かない。

そうだ。そうじゃないか

痛むのは生きているということだ。

ああ、また呼ばれた。

どうせ飛ばされるのに。

でも、生きている証として一瞬だけ行ってやろう。

長居はしないように気をつけよう。

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