初めから自分には届かないもの。つかんでいたはずなのにいつの間にか手のひらから零れ落ちてしまったもの。手に入れようとしないと手に入らないが手に入れようとすることができないもの。
すべてが欲しい。手の届くものすべてが欲しい。目の届くものすべてが欲しい。知っているものすべてが欲しい。
手に入らないものばかり数えていると、自分は何も手に入れていないような気がする。無くしてばかりいるような気がする。
実際に自分は何も手に入れてないのかもしれない。持っている物は認識できない。分かるのは持っていないものだけだ。無くしてしまったものだけだ。手に入らなかったものだけだ。
ドーナツの穴から世界をのぞく。右目を閉じるとドーナツに重なって見えない。左目を閉じるとドーナツに重なって見えない。両目を開けると何もかも見えているように思える。でもそれは見えないものを見えていると感じているだけだ。
無くしてしまったものは本当は手に入れてすらいないのかもしれない。ドーナツからのぞく世界のように、見えないものを見えていると思っているだけなのかもしれない。
手を伸ばせば触れられる。でもそれは触れていると思い込んでいるだ。
声をかければ認識される。でもそれは認識されてると思い込んでいるだけだ。
自分は自分を認識してる。でもそれは認識していると思い込んでいるだけだ。
全部不確かだ。
まともな仕事をして400万ぐらいの年収の仕事について彼女がほしいだけの人生だった まぁ50にもなると、1人でも生きては行ける