2019-03-05

おじいちゃん ごめんね

ぼくが生まれた時から住んでいた家

おじいちゃんが買った立派な家

一階はおじいちゃんのやってるお店があった

おじいちゃんのお店は人がたくさんいて、いつも賑やかだった

ぼくは立派な家が大好きだった

自慢の家だ

大きくなるにつれ、お店は随分静かになった

ある日 おじいちゃんから言われた

ここを でていく お金が無いんだ

夢の泡は儚く弾けた

ぼくは出て行く準備をした

重たいものも運んだ

おじいちゃんと運んだ

その途中、何故だかどうしようもなく悲しくなって

おじいちゃんの前で泣いてしまった

大きな声をあげて泣いた

悲しい。おじいちゃんの立派な家が大好き

出て行きたくなんかない。ここが好きだ

おじいちゃんは黙ってぼくのことを抱きしめた


十数年経ち、ふとこのことを思い出した。

大人になって気づいた。

本当はこの時、泣きたかったのはお爺ちゃんのほうだよな。

俺なんかより、ずっと涙を流したかったよな

最愛の孫にこんなに悲しい涙を流させる

お爺ちゃんの胸の内は、本当に張り裂ける思いだっただろうな

俺は大馬鹿者だ

お爺ちゃん、あの時泣いてしまって、本当にごめんね

ちゃんと、謝らせてほしかったな

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