おじいちゃんが買った立派な家
一階はおじいちゃんのやってるお店があった
おじいちゃんのお店は人がたくさんいて、いつも賑やかだった
ぼくは立派な家が大好きだった
自慢の家だ
大きくなるにつれ、お店は随分静かになった
ここを でていく お金が無いんだ
夢の泡は儚く弾けた
ぼくは出て行く準備をした
重たいものも運んだ
おじいちゃんと運んだ
その途中、何故だかどうしようもなく悲しくなって
大きな声をあげて泣いた
悲しい。おじいちゃんの立派な家が大好き
出て行きたくなんかない。ここが好きだ
おじいちゃんは黙ってぼくのことを抱きしめた
十数年経ち、ふとこのことを思い出した。
大人になって気づいた。
俺なんかより、ずっと涙を流したかったよな
最愛の孫にこんなに悲しい涙を流させる
お爺ちゃんの胸の内は、本当に張り裂ける思いだっただろうな
俺は大馬鹿者だ