2018-06-20

一人称女の子

 砂浜は白か灰色かわからない色をしている。どこまでも続く不規則に並んだ真っ白なプラスチックのイス。

監視台のようにすべてが海に向かって、互いと距離を取って置かれている。降りそうにないのに厚い雲が空を覆い、

わずかな光のスキマもない。椅子ひとつを引っ張って波打ち際に置いた。ハンドバッグを胸に抱えて座る。

波が足先まで、白く泡立ちながら何度も押し寄せて、引きずられるカーテンのように海へ還った。

 白か灰色に見える砂浜にはプラスチック製の真っ白な椅子が海に向けて不規則に、どこまでも並んでいた。

空には一面にねずみ色の厚い雲が広がり、わずかな光のスキマも見えなかった。椅子ひとつを波打ち際まで引っ張って腰を下ろし、

ハンドバッグを胸に抱える。波は足のすこし先まで白く泡立ちながら押し寄せては、引きずられるカーテンのように遠のいた。

それを何度も、細部を変えながら繰り返した。

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