「こんなところにカエルがいるよ」
と、車に乗る前に夫が言った。昨晩私が「生まれ変わるなら、カエルとかがいいなあ」といったから、カエルが好きだと思ったのだろう。
私はカエルが好きなわけじゃないよ、と私は言う。
雨につられてうれしくなって、ゲコゲコいいながら車道に出てきたら、うっかりぺしゃんこにされたりするカエルの人生が、なんだか愉快そうに思えただけなんだよ。
だから本当のところは、生まれ変わるなら夫の飼い猫に生まれ変わりたいんだよ。
雷を見せられたり、外に出ないように部屋に閉じ込められてかまわれたり、変なおもちゃで一緒に遊びたいんだよ。
いじめてたんじゃないでしょう?可愛がってたんでしょう?
「僕はそのつもりだったけど、はたから見たらそうじゃなかったみたいだからさ」
ふふふ、と私達は顔を見合わせて笑った。もう私は生まれ変わらなくてもいいみたいだね。