2011-01-09

中国の話

余華という中国作家の、初期の短編で『十八歳出門遠行』という作品がある。十八歳の少年が旅の途中で出会った出来事を描いた短い話だが、そのなかに、道ばたにリンゴを積んだ車を止めていたら、付近の村人たちが無言でやってきて、いきなり何もかも奪っていってしまう、というシーンがある。たまたま今日その話をしていたら、話していた相手が、私もちょっと似た経験しました、と言う。

どういうことか聞くと、

・もう10年以上前のことだが大陸バスに乗って移動していたら、急にそのバスが止まった。

・ふと前を見ると、バスの前に人が立ち並んで道を遮断している。そのうちに付近からも大勢人が出て来て、バスを取り囲んでしまった。

・話を聞くと、ひき逃げがあった、という。

・つまりこのバスのしばらく前を走っていた車が、人を跳ね、そのまま走り去ってしまった。

・だからおまえらが金を払え、という。

理解できなかったので、聞くと、どうも、車に乗ってる人間=おれたちとは違う側の人間=引き逃げした連中と仲間!ということらしい。よく大陸では、農村部と都会では、まったく違う二つの国なのだと言われるが、そこまでマッドマックス世界観になっているとは僕も知らなかった。いい田舎ホラーが撮れそうだ。

結局どうしたかというと、一人海外から来た金持ち華僑バスにいて、その人がお金を払ってどいてもらったんだそうな。

いやー、なんつうか、そりゃお金大事だよね。そりゃ稼ごうと思うよ。

ついこの前、上海から来た人と話してたのだけど、日本田舎に遊びに行ってすごくびっくりした、という。設備が整ってて、都会とまったく同じレベルで生活できるじゃないか、と。そんなことないでしょう、と僕。映画館本屋もないし。いやいや、インフラが整備されてて宿に泊まればエアコンがあってってことを言ってるの。言っとくけど私は中国国内田舎旅行なんか絶対しないよ。

まあ、上海人(基本的に田舎がきらい)のいうことだし、そんなものなのかなーと思って聞いてたのだけど、今日聞いた話で説得力が倍増しになったよ。まあ、10年以上前のこととはいえ。

記事への反応(ブックマークコメント)

ログイン ユーザー登録
ようこそ ゲスト さん