だめでしょう
とまりませんな
そこらは青くしんしんとして
どうも間もなく死にそうです
けれどもなんといい風でしょう
もう晴明が近いので
もみじの若芽と毛のような花に
秋草のような波を立て
焼け跡のある藺草のむしろも青いです
黒いフロックコートを召して、こんなに本気にいろいろ手あてもしていただけば
これで死んでもまずは文句もありません
血が出ているにかかわらず
こんなにのんきで苦しくないのは
ただどうも血のために、それを云えないがひどいです
ずいぶんさんたんたるけしきでしょうが
わたくしから見えるのは
なんだかんだ、と
一体何処で、油をうっているのか
わかりようもありませんが
外は大雨のようだ
降り出す前に、僕は帰路につけました、これはきっといいことだろうと思う余裕はまだ、ある
家へ帰ると、インターネットで買っておいた、カメラバッグが届いている
心の平和も、宣言するには、心許ない
何が足りなくて、何が満たされているのか、わからない
こんなことばかり、恥も知らず
しかし存外、そうでもない
この渇きと、飢えが、跡形もなく消え去ったとき、僕はきっと死ぬのだろう
どうも、満ち足りないから、前へ、上へと歩んでいける節がある
何年も昔、秋の夜だったか
日付がかわって、間もなく
彼女がそう言う理由は知っていた
長年付き合った彼に、別れを告げられた
彼女が、少しずつ、しかし確かに、形作っていた、結婚という夢も崩れた
いつでも
天真爛漫に、誰よりも幸せそうに笑いながら
苦しんでいた、彼女
彼女の家へ向かったのは
それを薄々、感じていたから
彼女に限って
まさかことに及ぶようなことはないと分かっていたが
教えてあげたかった
そんな時は、もっと直接的に、感じられるものじゃなきゃ、心は救われない
それは時と場合によって
傍にいることであったり、行動であったり、継続であったり
色んな形をとりはするが、どれも
やさしさや、隣人への愛とよばれるものだと、僕は思っている
それが為になるのか、何かの役にたてているのかはわからないが、しばらく彼女の傍にいることにした
僕よりも多くの経験を重ねてきた人であることに間違いはなかったが
それでも少しは役に立てたと、今でも思う
彼女が、僕たちが、生きられる、大きな世界の何分の一でしかなかった
その人の小さな世界で、ほぼを占めていた
何かが、なくなってしまったのならば
当然、心に穴はあくだろう
もし誰かに甘えることで、仮に、少しでも
それも可能ならば、友情でもって
何故なら、残酷なことに
いくらでも、生きられる場所を、用意してくれているように思った
一人ではないこと
楽しいことは、まだ残されていること
少しの間でも、忘れられること
それがだんだん、長くなっていくこと
例え、生きていることに意味を見出せなくても
死を選ぶのは、いや、自分を傷つけるという行為が、答えになるわけではない
失ってからはじめて気付くものは、たくさんあるし、それが自分じゃ洒落にもならない
だから、うしろむきな僕が、いつまでたっても見つけられない
生きる希望は、それはそれで、よいのかもしれない
だから、この世界がきっと用意してくれているであろう、居場所を探す力だけは残しておかなくてはならない
渇いている心が、飢えた頭が、ある限りは、より善いものを求めて、歩いていく、力になるだろう
道中は、弱音ばかりで、幸福の音色を聴かせることなどできないかもしれない
しかし、満ち足りていないのなら、前へ進める
小さなことで、満ち足りぬ自身をいずれ、誇れる日がくるかもしれぬ
それが、希望を追う、力になるだろう
そしてまた、目の前の絶望にも、溺れぬよう、抗う力になるだろう
そうすれば、溺れかけているように思える、この頭の中からみても、