日本で「インフレターゲット」(リフレ)がうまくいかないと思う理由を書いてみる。
誰の賃金が上がるのかわからないという点。いまや労働者の3分の1が非正規雇用労働者といわれている。
仮にインタゲがうまくいって、緩いインフレマインドが続くとしても、21世紀に入ってからの「いざなぎ超え」景気時
の企業同様、なかなか給与の伸び率は伸びないと思われるからだ。代わりに若年層の正社員就業率は伸びると思う。
全労働者の3分の2(つまり性社員)の給与はしばらく足踏みのままと想像される。
2008年から2009年にかけての非正規雇用労働者の雇い止め・雇用調整を見ていてわかったのは、「就職のためには住所が
必要だ」ということ。あと「若年労働者が住職近接でない点で、選択圧力を受けているのではないか」ということだ。
不景気だといわれていても、人口の多い都市部にはまだまだ職があるのだ。住む場所(住所)があれば、職を選ばなけれ
ば働ける。
ただし、正社員でないとそもそも家賃を払えない。(特に)都内の家賃は高すぎる。正社員でも若年層はひとり暮らしで
精一杯なのではないか。
仮にインタゲがうまくいくと、都市部ではさらに求人が上がると思われ、人口の流入も考えられる。
普通、住居を求める人が増えれば家賃は下がるかと思われるが、逆だ。パオロ・マッツァリーノの指摘どおり、家賃は上
がるのだ。1Kやワンルームで7~8万というレベルがさらに上がると、住所を失う労働者が増えると推測される。
都心の公示地価を半分に切り下げて、都心の賃貸住宅を増やそう。家賃はもちろん7~8万以下に抑えるのだ。
だいたい日本では、土地の価値付けの理由が不明だ。地価の価値付けを明確にすれば、おそらく日本の土地はだいぶ下が
るかもしくは適当な価格になるはずだ。それが決定できないのなら、強引に切り下げてしまえ。
単身世帯向けだけでなく、3人くらいまでのファミリー向けの賃貸も建てよう。そうすればコンパクトシティも実現する
し、ファミリーの都心回帰(+プラス、家賃の心配が下がる)ので消費マインドも上がるはずだ。
土地の値段が高いせいで、土地の上に建てる家屋にお金をかけられないという心配も、地価の切り下げで解消される。な
にしろ今まで土地にまわさざるを得なかった部分を家屋にまわせるようになるのだから、その分耐震設計に重点をおくこ
とができるようになるに違いない。
建設ラッシュも起きて、景気回復を牽引するだろう。土地が安くなるので今までの家主たちも建て替えをするかもしれな
い。建築基準法があるから、簡単にはアパート・マンションの粗製濫造はできないはずだ。
このようにして日本の景気は回復するのだった。