3ヶ月前のことだ。後輩がキラキラとした目で「就職活動怖いけど楽しみっス」と語っていた。
「俺、すごく雑誌とか本が好きで。ずっと出版社に勤めたかったんです。目指してる企業もあって!目標もあるんです!だから周りの人が怖いって言ってても実感ないって言うか……昔から目指してた目標が近付いてきたと思うと、怖くないんです」
もうこの時点で私は頭の角度が45度くらい下を向き、視線は居酒屋の汚い床をなぞるしか出来なかった。しかし、勇気をふりしぼってこれだけ聞いた。
「その目指してる出版社……どこ?」
彼は自信満々に答えた。
「講談社です。おれ、すごくマガジンが好きで、愛してると言っていいほどです。誰にも負けないっすよ」
泣きそうだった。
2chの出版志望者のスレのテンプレ(下を参照のこと)を飲み屋で朗読してやりたい位だった。けれどそれは出来ない。彼の熱意は本物なのだ。本物の熱意を持つ人に、そんなことをして何になるだろうか。
頑張れ後輩よ、今あなたはどんな気持ちでいるだろうか。もし本当に講談社に入社できたなら、惜しみない拍手を送ろうとおもう。けれどきっとそれは無理だろう。ただ単に、確立の問題として。
十月 大手の採用ページが順次開設される。
三年生の心をぐっと惹き付ける。それを冷めた目で見る二週目人。
十一月 大手三社の刊行物の話題。だいたいファッションか漫画。
ファッション誌やりたーい!!なんて発言も飛び出る
白熱したりしなかったり、大暴れされたりする。
一月 エントリーシートの話題
かけねー、なんだこりゃ、ふざけんな、の声
二月 まにあわねー、だの、締切当日だね、書かなきゃ、とか
筆記試験の話題も
四月 勝組、負け組、明暗くっきり。面接の話とか。目が大手三社から離れる
五月 大手三社以外の出版社の話題が多くなる。選考どうだったよ、みたいな探りあい。
これが十月くらいまでつづく。
十月に近づくにつれて「周流」「ニート決定」「無い内定」「時間よ戻れ!」
が合い言葉になったりならなかったり
十月 ふりだしにもどる
(1)さっさと小学館のESを書かないと♪あっ集英社ももうすぐだw
(2)大手の選考あんまり進まなかったな…準大手ならいいところまでいけるかも。
(3)まだ中堅でもいいところあるじゃん!医学系とかなら金もいいし♪
(4)まずは出版業界に潜り込まないとな…。あっ!採用情報みっけ!
(5)マジで受けられるところがなくなってきた…主婦生に落ちたら就留か…
(6)新卒募集じゃないところにも履歴書を出すか…卒論どうしよ。
(8)版元や正社員にこだわる必要はないか…俺よりダメな奴はいっぱいいるさ
(9)この書き込みは3年生か…無理無理、小学館なんて受かんねえよ
私も昔、年下の知人(高卒)が新卒で入った会社を辞めてしまい「これからどうするの?」と聞いたら「出版社で編集の仕事をするのが夢だったので、それを追いかけたい!」と目をキ...