「民主党VS検察」の第二幕は小沢の逆襲東京地検特捜部強制捜査で新展開
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検察は、総力をあげて捜査するが、石川代議士らの起訴はともかく、小沢氏に行き着くまでには、まだ相当の時間がかかる。当然、小沢氏の逆襲が始まる。
まずは聖域つぶし。検事総長人事の見直しから始めよう。「官僚支配からの脱却」を掲げる民主党は、仙谷由人行政刷新相が主張しているように、事務次官を頂点にした「霞が関」の支配体制を崩すために、事務次官制の廃止をもくろんでいる。
台形の組織になれば「政治主導」が徹底するという理屈だが、法務事務次官の上に最高検検事総長、東京高検検事長といった「天皇の認証官」を擁する「法務・検察」はどうなるのか。
総長人事は「内閣の助言と承認」を必要とするものの、最高検から出された人事に「不承認」を与える理由を探すのは難しい。それでも「政治主導」を徹底しようと思えば、「国会同意」を必要とするよう法改正することが考えられる。そうなると民間総長が実現、検察庁から人事権を取り上げることになる。ただ、法改正は時間がかかるから、今回はもっと直接的に逆襲するのではないか。
検事総長の定年は65歳。樋渡検事総長は、8月4日に定年を迎えるため、それまでに大林東京高検検事長に“慣例通り”にポストを譲らなくてはならない。その際、内閣を事実上、握る小沢氏が「内閣の承認」をすんなりとは与えまい。
「鳩山・小沢事件」では、いつに増して検察からの情報リークが目立った。検察は否定するだろうが、捜査権によって押さえた政治団体の帳簿や銀行口座の情報が、次々とマスコミに流れるのはなぜなのか。この情報リークや恣意的な捜査を理由に、検事総長人事を「助言」という形で妨害、意の通る検察OB弁護士を検事総長に据えようと画策することがあり得る。
それがあまりに露骨だというなら、夏の参院選後に予想される内閣改造で、指揮権発動も辞さない強烈な「反検察派」を法相に起用、恣意的と思われる検察捜査に指揮権を発動、特捜検察を“骨抜き”にすることもできる。
指揮権は、1954年の造船疑獄の際、当時の佐藤栄作自由党幹事長を逮捕する際に発動され、それ以降はタブーとされてきたが、検察庁法の第14条に法相の検事総長への指揮権が規定されており、その“宝刀”を「抜いてはならない」というものではない。
「法務・検察」は、「政財官」の監視役であることを理由に、マスコミの“支援”を受けて、これまで不可侵領域だった。しかし、検察庁は法務省の特別機関という位置づけの行政機関。それを従えるのは当然、という意識の権力者が出てきた。この抵抗する者を許さない強面の小沢氏は、「法務・検察」の解体をもくろんでいるが、脛に数々の傷を持つ。
その「傷」に目をつけて、検察が捜査権と公訴権を武器に切り込んできた。逃れるのは容易ではないが、負ければ政治資金規正法違反で起訴され、公民権を奪われて政治生命を失う。政治権力と捜査権力のがっぷり四つの大げんかは、互いの存亡をかけた血みどろの争いになってきた。