中国、プーチンの苛立ちを横目にトルクメニスタンへ30億ドルを貸与
アシガバード政府(トルクメニスタン)は中国から30億ドルの融資を受けると公式に発表した(AP速報、6日)。
「トルクメニスタンのアフガニスタンとの国境近くにヨロタン鉱区(天然ガスが吹き出している)では6兆立方キロ・メートルのガス埋蔵が確認されている。『向う百年間、毎年500億立方キロのガスを供給できる』とベルディムハマドフ大統領は胸を張っている」(ワシントンポスト、6月6日付け)。
トルクメニスタンという謎の国は、いまも鎖国中だが、独裁者ニヤーゾフの怪死以後、すこし風向きが変わった。
第一にカスピ海沿岸のガス鉱区からはロシアだけにしか流通ルートがなく、従ってトルクメニスタンは長らくロシアの「家来」だった。ガスの値決めも、一方的にロシアが通告するだけだった。
第二はトルコのジェイハン港へ西側がパイプラインを通したため、カスピ海の対岸アゼルバイジャンまで海底パイプラインを敷設すれば、ジェイハン・ルートに合流が可能で、待望の西側へ出せるという強い衝動が拡がっていた。現在カスピ海の別の鉱区開発をマレーシアのメジャー「プルタナス」などが行っている。
第三にイランへの供給が始まり、距離的には一番近く、ロシアへの強い桎梏から逃れられる。イランはイランで、南へ向かうパイプラインを隣のパキスタンへつなぐIPルート(イランとパキスタンの頭文字をとって「IPルート」という)にも動き出した。これも背景には中国がある。パキスタンのグァイダール港からパキスタンをパイプラインを敷設してカラコルムを通過させ、新彊ウィグル自治区まで繋ぐ。
そしてトルクメニスタンの懸案だった「ロシア以外」のルートが中国向けガス供給である。
トルクメニスタンからカザフスタンを通過して、えんえんと7000キロのパイプラインは中国へ向かうが、年内に工事が完成予定。
このルートから年間500億立方キロのガスが中国へ向かう。これは25年の長期契約で、そのために中国はトルクメニスタンへ30億ドルを融資する(つまり、先払い)。