「わたしはあなたがたにリア充を教えよう。
非モテは克服されなければならない或物なのだ。
あなたがたは非モテを克服するために、何をしたというのか?」
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高校時代の同級生(男)から、部活の後輩女子が結婚したと聞いた。
文化部で、おっとりしていて優しい雰囲気の女子が多い部活だった。
「みんな後に続いてどんどん結婚するんだろうな」
と言ってから、俺は思わず付け加えた。
「女子は」
それどころか彼女すらいなかったりする。
その文化部周辺に限らず、俺の周囲では女性ばかり結婚していて、
日本全体の男女比は大体1:1なので、
「滅んでしまえ」
「まあどちらにしろ、俺たちみたいなのは滅ぶよな」
「うむ」
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お互い健全な愛を交わして
そう、今はそんな理想社会に移り変わるための、一時的な痛みに過ぎない。
いわゆる、痛みを伴う構造改革なのだ。
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かつて言われていた。今もすこし言われている。
だがそれは、戦争が作り出した一種の既得権・幻影であるに違いない。
生き残ったのは兵隊にもなれないような軟弱者ばかりで、
戦後の社会にはそういった連中がなし崩し的に居座るようになった。
幻影だったのだ。
いま、半世紀を超える平和を享受してようやく、
そういう正常な世界が戻ってきたのだ。
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このまま平和な世界が続けば、非モテ・非コミュは順調に淘汰され、
もちろん、現在の人権意識に合わせて表向きは「多夫多妻制」と喧伝されるだろう。
しかし、実際上は一夫多妻制になるはずだ。
心を病んで、自殺を選ぶ人すら少なくないらしい。
これは、1000年王国実現の暁には、
同じ過ちを繰り返さないように語り継がれるだろう。
それは、黙って、むしろ喜んで滅びてもらうほかないだろう。
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「わたしが愛するのは、おのれの没落し、犠牲となる理由を、
星空のかなたに求めることをしないで、いつか大地がリア充のものとなるように
大地に身を捧げる人たちである。」
「わたしが愛するのは、リア充のために家を建て、
リア充のために大地と動物と植物を準備しようと働き、工夫する者である。
なぜなら、こうしてかれはおのれの没落を欲するのだから。」
「わたしが愛するのは、人間たちのうえにかかっている暗雲から、
一しずくずつ落ちてくる重い雨滴のような人々である。
かれらは稲妻がくることを告知し、告知者として破滅するのである。
見よ、わたしは稲妻の告知者であり、雲から落ちる重い雨滴である。