2009-05-12

入院中に恋した人

入院中に恋した人3

5 :名無しさん@お大事に:2009/01/10(土) 00:58:39 ID:ayyXT8BN

文章ヘタクソですが、10年近く前の話です。

当時フリーターだった僕はバイト先の健康診断で肝機能を示す数値が

極端に悪くなっている事が解り、緊急入院する事になりました。

体はぴんぴんしてたので、何かの間違いと思っていましたが、検査の結果

B型肝炎だと解りました。そして3ヶ月にわたる入院生活が始まり、その新人看護婦さんと

出会います。

その子はパっと見、明るくて愛嬌のあるタイプですが、性格シャイ

口数も少ない感じです。真面目で仕事は絶対に手を抜きません。他の新人看護婦

要領良くポイントを押さえて仕事を消化していく中、患者さん一人一人に時間をかけ

時には悩み相談に乗り、優しい話し方で励まします。とにかく時間をかけ過ぎるので

先輩に注意されたりしていましたが、自分のやり方を変えようとしません。

そんな彼女に僕が好意を持つまで、たいした時間はかかりませでした。

続きます


6 :5:2009/01/10(土) 02:10:17 ID:ayyXT8BN

途中で別の病棟に移動するまでの一ヶ月半、いろんな事を話し、いろんな事があったのですが

全て書いたらキリが無いので重要な事だけ書きます。

最初の1〜2週間、彼女の優しさは仕事上の物であり、僕に対して特別な感情が

無かった事は理解していました。しかしある出来事を境に彼女に変化が現れます。

暇を持て余していた僕は、その子をちょっとからかってやろうと思い

休みの日は何をしてるの?」と尋ねました。「趣味もないし、特に何もしていない」

と笑いながら答えたその子に対し「へ〜彼氏居ないんだ〜ニヤニヤ」と言いました。

すると、ちょっと怒って「彼氏いますよ!」と。

自分でからかっておきながら、僕は軽くショックを受けそれを明らかに表情に

出してしまいました。それを見た彼女は無言で立ち去ります。

翌日、彼女がやってきて「昨日、彼氏が居ると言ったけど最近は会ってないんです」

「なんか胸がズキズキする・・なんでだろう・・」こんな感じの事をため息をつきながら言ってきました。

この時点で、彼女は僕に特別な感情を持ち始めたのかな?と思ったのですが

いろんな理由があり、彼女に告白も何もせずに別の病棟に移動する事を決意をしていました。

続きます



7 :5:2009/01/10(土) 02:50:41 ID:ayyXT8BN

その理由とは

B型肝炎は性感染する病気で、しかも慢性肝炎である事が濃厚になっていたので

長い闘病生活になる

・日々成長していく彼女に対して自分フリーターなんかをやっていて

将来を悲観していた

・長い入院生活で精神的に参っていた

仮に彼女と付き合っても、どう考えても上手くいくとは思えない。

10年経った今でもこれが正解だったと思っています。

そして病棟を移動する日、彼女や他のスタッフにも軽く挨拶をし

荷物を台車に乗せその場を後にしました。それから何事もなく一ヶ月半が過ぎ

無事に退院しました。

これで話が終われば「入院中の良い思い出」で済んだのですが

約1年後、急病の母親をその病院の緊急外来に連れて行った深夜の病院

彼女と再会してしまいます。

続きます




8 :5:2009/01/10(土) 06:06:32 ID:ayyXT8BN

退院後の僕は週5回、近所の小さい病院で点滴を打ち

月に一回、入院した病院検査を受ける日々でした。

そんな状況ではバイトもできません。しかし一人暮らしをしていたので

パチンコスロット生活費を稼ぎ、本当に生きるのが精一杯な感じでした。

実家は近いので、戻るのは簡単ですが、親に頼りたくなかったのです。

幸い母親はたいした病気じゃなく、とりあえず薬を処方してくれたので

それを受け取りに一人で夜間専用の窓口に向かいました。

薄暗く長い廊下の中間にあって、僕と、中年女性が一人

そこで待っていました。そして彼女が近づいてきます。

痩せて綺麗になっていた彼女は長い廊下の途中で僕の存在に気づいたのでしょう。

明らかに緊張した様子で、しゃがんで窓口の下部に書類を入れていました。

僕が「もしかして○○さん??」と言うと彼女は体が固まったような状態になり

反応しません。もう一回「○○さんでしょ?」と言った瞬間、ゆっくりと立ち上がり

振り返って「あ、●●さん・・なんでこんな所に・・」とちょっと震えた声で言いました

その様子を見ていた中年女性は、気を遣ってくれたのか

少し歩いて距離をとりました。

彼女の緊張がこちらにも伝染して、ぎこちない会話が数分続き

最後に長い沈黙の後、彼女は薬を受け取り

「それじゃ仕事に戻ります・・お大事に」と言い、薄暗い廊下を歩いていきました。

そして親を家に送って自分の部屋に戻り、さっきの事を激しく後悔するのです

なんで何も言わなかったのか、と

もうちょっと続きます・・・





9 :5:2009/01/10(土) 08:24:07 ID:ayyXT8BN

もしかしたら、あの子は今でも僕の事を好きでいてくれて

あの瞬間を待ち続けていたのでは?

今思うと妄想に近いのですが、その時の僕はそう思いました。

このままでは一生後悔する事になる

しかし今の自分はそんな状況じゃない。迷い続けたあげく

『もしまた再会したら、運命だと思って玉砕しよう』という、消極的な作戦を立ててしまった

のです。病棟まで行って話せば済む話なのに・・

その再会がいつだったのか、正確に思い出せないのですが、

長い月日が流れ3年近く経っていたと思います

大きい病院ではそう簡単に再会できないものです。

月1の通院も日常生活の一部になり、諦めかけ油断していた時期に

その瞬間がやってきます。

受付からちょっと離れた位置の椅子に座り主治医に呼ばれるのを待っていました

その時、後方から彼女が歩いてきたのです。後姿を見てすぐ気づきました。

彼女が僕に気づくまで多少の時間がかかりましたが、その瞬間、前回と同じように

そのまま固まり、ずっとこちらを見つめています。

時間にして2〜3分見つめあう二人。異変に気づき周囲の人間もザワつきはじめる。

この展開・・・奇跡が起こるかも・・

もうすぐ終わります




10 :5:2009/01/10(土) 09:43:55 ID:ayyXT8BN

こちらに歩いてくる彼女に僕の方から話かけました

3年ぶりの会話です。もちろん僕の名前、前回の再会

全て覚えてくれてました。僕や母親の病状を尋ねる時の

優しい口調は昔と全く同じです。しかしのんびり話してる時間はありません。

いつ主治医に呼ばれるかわからない状況です。周囲の視線が凄かった事もあり

場所を変えてこう言いました

僕『えっと、話たい事がたくさんあるけど、時間が無いから連絡先教えてくれる?』

彼女『だめだめ。絶対にだめ』

僕『え?いや、友達として・・』

彼女『だめ。もういいですか?それじゃ』

頭が真っ白になった僕は彼女が立ち去ると同時に外来へと歩き始めていました。

そして角を曲がろうとした瞬間、彼女が大きな声で叫びます

『さようなら!』

僕が振り返るともう一度叫びました

『さようなら!』

僕は軽く手を振るのが精一杯でした。あっけなく全てが終わりました。

ぶざまなフラれ方をしたもんです。でも当然の結末だったのかもしれません。

出会ってから4年近くたって何かが始まるなんて事はそうそうあるもんじゃありません。

その夜は酷く落ち込んで禁止されてる酒を呑みながら、気持ちを整理しました。

そして再び長い月日が流れていきます。

次で終わります





11 :5:2009/01/10(土) 10:46:41 ID:ayyXT8BN

あれから恐らく5年以上経ち、今でもその病院に通っていますが

彼女と再会する事はありませんでした。もう自分の中で全てが思い出になりつつあります。

彼女も30代になってるはずです。もうその病院には居ないのか・・

主治医に聞いてみたら、やっぱり数年前に結婚して退職したとの事。

具体的に何年前かは解りませんでしたが、あの時すでに

彼女運命の人と付き合っていたのでしょう。婚約してたかもしれません。

そう思うとあの時のあの対応は二人にとってベストだったのかも。

あの新人看護婦さんが結婚して幸せになったのか・・

10年間のいろんな思いが込みあげてきて涙が出ました

そして僕は本当にあの看護婦さんの事が好きだったんだな

という事に気づきました

出会った時から最後まで立派な看護婦さんでした。

長い入院生活に耐えられたのも、10年の闘病に耐えたのも

これからも耐える自信があるのも、全てあの人のおかげです。

こんな感謝言葉をあの時伝えるべきだったのかも

しれません。

Cさん、入院中は本当にお世話になりました。本当に救われました。

さようなら!

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