2008-11-14

葬式での言動がどれだけ遺族を傷つけているか少しは考えろ

母が死んだ。

父は、家族葬にし、葬儀は極力地味にすると決め、親族以外一切連絡しなかった。

父が家族葬に決めたのには理由がある。母と同世代の人は大抵年金生活者だから、気を遣わせて無用な出費をさせないよう、

「極力派手な事はしない。」

と方針を決めていたのだ。

少人数なので、不快な出来事は起きにくいはずだった。

通夜の前日、母方の伯父が生花を出すと言い張り聞かなくなった。その伯父は元町会議員((実は、祖母の連れ子だった母とは直接血は繋がっていない。))。葬儀委員長だった父の弟((近所に住んでいて、私たち家族とは深い付き合いがある。冠婚葬祭に詳しい。))が渋々それを受け入れると、今度は父方の伯父が声を荒げて生花を出すと言い出した。

嫌な雰囲気になった。

翌日、火葬場で母が焼かれた。程なくして、骨を拾う事になった。マイクロバスが用意された。

私たち家族だけだろうと思っていたら、母方の親類が押し寄せるように乗り込んできた。それにつられてか、父方の親類まで乗り込んできた。マイクロバスは、満杯の親類縁者を乗せて火葬場に着いた。

生花にこだわった父方の伯父は、焼却炉を覗き込んでしたり顔で頷いていた。

母方の伯父の一族は、母の骨を見て、

「ほらほら、骨が黒くなってる。あっちも、あっちも。黒いところが病気のところなんだよね。」

とざわめき始めた。

「焼くと、病気だったところの骨が黒ずむ。」という俗説は、私も火葬場に行くたびに聞かされた。時には火葬場の責任者が骨を指して、

「ここが病んでいたところ。」

などと言う事もあった。

しかし、母の病巣は肝臓で、蛋白質主体であるその病巣が800℃以上で1時間30分以上焼かれてその痕跡を残すとは考えられない。

さらに、母が骨に転移などを起こしていなかった事は死の直前に行われた検査で明らかになっている。

しかも、彼らが「黒くなっている。」と騒いでいたのは、淡褐色になった骨髄の部分だった。そこに病巣はない。

生焼けなら可能性はあるが、いつからこのような俗説が流行り始めたのだろう。

親戚はざわめき始めた。

「こりゃあ、痛んだろう。」

「辛かったろうね。」

母は自宅療養だった。癌であるにもかかわらず痛みを一切覚えず、モルヒネを最期まで使わなかった。

父の献身的な介護で、母は快適に過ごしていた。死の6日前まで穏やかだった。笑顔もあった。

医師が何度も「痛みは本当にありませんか?」と聞くのがおかしいと笑った事もあった。

そして、医師が驚くほど母は長く生きた。念のためと入院てすぐに死んでしまった。

何も知らない親類縁者が、2年にも及ぶ父の献身的な介護を見ることもなく、穏やかだった母の生活を見ることもなく、勝手に母を苦しんだ事にし、母は辛かったんだ、不幸だったと言い始めた。

奥歯を噛み締めながら母の頭の骨を箱に収めていると、伯母((生花を出すと言い張った伯父の妻))が私の背後に近寄り、こう言った。

「○○ちゃん、あの黒いとこが病んでるとこ。」

怒りで涙が溢れた。

火葬場を出る時、私の顔を見て従兄弟((生花を出すと言い張った伯父の長男))が

「あいつ、大丈夫かぁ?」

と言った。

彼は、母が病気を克服するために頑張ろうとしていた2年前に家に来て、まるで通夜のような顔をしていた。

2年前には通夜のような顔をしていた従兄弟だが、初七日法要には最前列の端っこでいびきをかいて眠っていた。

通夜の前に母方の叔父と競って生花を出すと言いだした父方の伯父は、母の祭壇をカメラで何度も撮影し始めた。宗派が違うので面白かったのだろうか。

その夜、葬儀委員長だった叔父と、もう一人の伯父と父と私とで、遅くまで飲み、話し込んだ。

葬儀委員長の叔父がぽつりと言った言葉が印象的だった。

「火葬場に、野次馬が来てしまったんだな。」

父は私にこういった。

「所詮、花を並べて皆に見せることでしか、母との関係を示せない人たちなんだ。」

葬儀に行く人にお願いしたい。

どんな形であれ、ずっと一緒にいた者が骨になっている家族の周囲で、あれこれ言い立て騒ぐのはやめて欲しい。

葬式興味本位で撮影しないで欲しい。

葬儀で眠いなら、席を外して欲しい。

  • 嫌な奴をぶん殴って(葬)式を台無しにしたくないという弱みをつけ込まれただけ。 弱みを持つってことは、他人の介入を拒否できない、ただそれだけのこと。 警察沙汰になって前科が...

  • 生焼けなら可能性はあるが、いつからこのような俗説が流行り始めたのだろう。 俗説ちゃうよー。病気が違うだけ。 脳溢血とか動脈瘤みたいな、血管詰まる病気だとそこに跡が残るの...

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    • 増田は多分まだ20代なんだろうと思うけど、親戚のことはある程度仕方ないと割り切ることも大事だと思う。 自分は老人性痴呆があまり知られていないうちに介護をして、親戚と壮絶にも...

    • http://anond.hatelabo.jp/20081114135607 元増田です。 ご意見、有難うございます。 私も彼女(母方の伯父家族)らに悪意はないと思いますよ。 それをしっかり書かなかったな、と後悔していまし...

      • 一応、そこら辺の経験はあるので、 痴呆症の介護云々と書いたつもりだったのですが。 伝わらないようで残念です。

  • うーん。気持ちは分かるけど、正直なところ、そこまで怒るほどのことか?と思った。 記述から増田の主観と、ごく身内しか知らないことを除いたら、 (主催者側は派手なことはした...

    • ひとつは、骨が黒いとか痛んだとか言われたことで、まるで自分達の看病が悪かったと責められた気分になったんじゃない? そういう問題じゃないと思う。 「ほらほら、骨が黒くな...

      • 横だけど、増田は大人になってから葬式出たことないのでは。 田舎の人は悪気なくその程度のことは言うよ。 遠回しな嫌味などではなく、雑談的な意味で。 正直に言って、増田の怒り...

    • おせっかいだなぁ。 勝手に推測して、勝手に自分論を押し付けんなよ。

  • http://anond.hatelabo.jp/20081114090156  葬式で無神経なこと言わないように気をつけるよ。

  • 今、26歳。 今年、中学時代の同級生の葬式があった。 自殺だった。 親友と呼べるほど仲が良かったわけではないが、中学で同じクラスだった時は、一緒につるんだりする程度の仲ではあ...

    • スペシャルじゃなくても友人には変わりなかったんだろう。 その他大勢的であっても。 そんな人だったとしても来てくれた方が遺族はうれしいよ。 ありがとう。

    • 火葬まで行くのは家族・親戚くらいと思っていたが、若い人の葬式だと、友人・知人が火葬までついてくるのは普通なのかな? 正直、遺族の方は俺を見ても誰だかわからなかっただろう...

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