博士課程に進む理由は人によって千差万別だが、中には、あまりブログなどで公言したくない類の理由もある。
自分が進学する理由は、もちろん、研究がおもしろいというのが大前提だが、最大の理由は親が教授で自分が一人っ子だからだ。
兄弟姉妹のことを考える必要もなく、家は持ち家で、親の定年まで後10年以上ある。ぶっちゃけて言えば、自分は一生働かなくても、親の金だけで食っていけるはずだ。
大学に入った当初は、自分が恵まれていることに申し訳なく思ったりもした。だけど、大学で学年を重ねていくと、いろいろな人間を見る。
自分と同じぐらい、経済的・家庭的に恵まれている知り合いがいたが、悩んで留年を重ねてしまって、まだ学部を卒業できていない。おそらく、「自分は恵まれているのに、こんなことじゃだめだ」ということで自分を責め続けているのだろう。そういう気配は微塵にも漏らさないが、よくわかる気がする。逆に、自分よりずっと才能面で恵まれていて、「こいつは博士を出て大物になるだろう」と学部のころから思っていた奴は、途中でうつ病になって大学院をやめてしまったりした。バイトしながら研究をして、M1のころからガンガン成果を挙げている人も知っているが、その人は、一つの分野で5年??10年に一人出ればいいほどの才能の持ち主だ。最初から才能に恵まれていたとしか思えない。
そういうのを見ていると、学部の終わりごろには、「才能も運のうち、親や家庭環境も運のうち」と、思えるようになってきて、気にならなくなった。
それでも、自分が恵まれていることについては、あまりおおっぴらには語りたくない。
「経済的に恵まれている人間は、滅多にそのことを口外しないものだ」というのは、知っておいた方がいいと思う。
口外しても、ねたまれるか、そこまで行かなくても「君は恵まれているんだから、もっと成果出せるでしょ」みたいに思われるのがオチだ。
ただ、さすがに隠しているのも変に思われるので、研究室では隠してないが・・・話すのは飲み会の席で尋ねられたときぐらいにしている。
「博士課程っていうのは、才能に恵まれている人間か、経済的に恵まれている人間が行くところだと思う。」←これ、重要。それ以外の人間が行っても、苦しむだけだ。
自分は、たまたま、理解のある親とよい家庭環境を持っていた。「経済的なことは関係ない」、「真面目にやっていれば成果が出せる」という意見もちらほら見かけるが、そういう人は、結果的に才能があったのだろう。
博士課程は「楽しさ」を求めていくところではない。博士課程と企業と、どちらが「楽しいか」と言われれば、圧倒的に企業だと思う。楽しい仕事が好きな人は、企業に行ったほうが良い。その理由は、分野にもよるが、基本的に大学の研究室ではチームワークが期待できないからだ。人は、社会的な生き物なので、ほとんどの人間はチームワークで仕事する方が一人で仕事するよりも「楽しい」と感じるはずだ。
企業は人を選べるし、チームワークを乱す人は排除できる上に、賞与を使ってモチベーションを上げてくれ、失敗しても責任の一部は法人が被ってくれる。
研究室は人を選べないから、チームワークを乱す人は排除されず、業績を上げても金銭的に特になるものは何もなく、失敗したら(研究に深刻なミスが見つかったら)個人の責任になる。
自分は、「一生の間に博士号というものを取っておかないと、死ぬときにきっと後悔する」と思ったから、企業と比べても楽しくないことが分かっていて、博士課程に進学した。こういう考えの背景には、「親が教授」という家庭環境が多分に影響していることは否めない。
これから、博士進学か就職かを選ぶ時期になるが・・・大学教員は、よっぽどのことがない限り、博士課程を薦めるものだと思っていい。
大学教員が企業の上司と決定的に違って、別に、あなたの将来について何の責任も負わないということは、覚えておいたほうがいい。
部下がどんなに使えなくても、会社は人件費を払っているので、上司はその部下をうまく活用する責任を問われる。
一方、学生がどんなに無能でも、大学教員は基本的に何の責任も負わない。無能な学生を何年も留年させておけば、研究室の評判は悪くなるだろうが、それを気にしない教員は本当に気にしない。
金融危機で、また、就職氷河期がやってくるだろう。企業も人を見るようになる。
博士3年間でそれ相応の業績をあげられなかった人には、容赦なく不要な人材の烙印を押される。
自分は、端的に言って、一生働かなくても困らない家庭環境を持っているから進学した。
それでも、才能面で全く見込みがなかったら、進学はしなかっただろう。自分の才能は、自己評価では中の上ぐらいだと思っている。
今年、就職か進学かで迷っている人は、よく考えたほうがいい。おそらく、9割の人間は、就職の方が幸せな人生を送れる、と自分は考えている。
自分は、元が恵まれていて申し訳なく思っているところがあるので、そこまで幸せじゃなくてもいいや、と思えたから就職を手放した。
元が恵まれていないと感じている人は、ほぼ間違いなく就職した方がいいと思う。
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面白かったら失敗してもいいんだ。意味不明なんだけど。 たぶん元増田のいっている面白いとは別の意味なんだろうけど、この増田の言うところの面白いってどんな意味?
http://anond.hatelabo.jp/20081029050532 僕が博士に進む理由