2008-08-06

NPOは『ロスジェネ無職が一気に勝ち組へと駆け上がる方法』か?

NPOセンター職員が http://anond.hatelabo.jp/20080805220021 について思うことを雑文にしてみた。

NPOを立ち上げた「だけ」で補助金は出ない

県庁の話とかが出てるので、元記事のNPOとは「NPO法人」のことだと推定。

NPO法人と(法人でない)NPOの違いって言うのは、要するに株式会社と個人商店みたいなもの。

法に従った登記をすることで団体自体が責任能力を持つようになる。(詳しくはググって)

だから、「NPO法人にすると毎年補助金が出るんでしょ?」と期待する人がいるが、

それは「個人商店から株式会社にするとお金もらえるんでしょ?」と同じくらいの誤解。

ちなみに、NPO法人の手続きは、他の法人と比べるととんでもなく簡単。

必要なのは役員4人と構成員10人(役員含む)、あとは書類作成の手間くらい。

株式会社と比べると登記費用もいらない、資本金もいらない。

所轄庁(大半が都道府県庁、一部が内閣府)に届け出ると、

約2ヶ月後に認証(書類不備以外、所轄庁に設立拒否の権限がない)の証明書が出るので、

それを持って法務局登記すれば完了。

これで「自分たちが法的責任能力ある非営利組織である」ことの証明を得る。

もっとも、NPO法人数の増加に加え、

最近法人格の有無より活動実績とかを重視するところも増えてるので、

NPO法人化することが助成金獲得の切り札には、もはや成り得ない。

それでも「助成金太り」するNPO存在する訳

他にもイロイロとあるけど、とりあえず3つ。

・自分の活動分野にしか興味がない人の助成金申請書はただの嘆願書になりがち。

 過去の実績を聞いているのに、現在社会情勢を論じて終了とかよくある話。

 そんな中にプロの「助成金ゲッター」が混じると、申請書の時点で圧勝確定。

・1度助成金を受けると2度目を取りやすくなる。

 なぜなら、行政が「(金額に見合うだけの)成果が無くても知ったことではないが、持ち逃げはさすがに勘弁」

 というスタンスだから、(書類に報告できる程度の)過去補助金活用が猛アピールになる。

行政自体に広報する気がなく、自ら助成金情報を集めていてるような人しか申し込まない(そのくせ金額は大きかったりする)

一部に癒着があるのは事実。具体名を耳にしたこともある。

ただし、それ以前に勝負にすらなっていないケースの方が、遙かに多い。

政治家になりやすいのというより、政治家になるぐらいしか道がない


NPO中の人現実問題として、NPO専業で30を超えたくらいになった人って、

いざ他の世界に転身しようとすると、

基本的に自営業公務員(年齢制限が緩和されたから)ぐらいしかない。

世間的な評価はフリーターと同レベル(ついでに収入も)。まともな転職先など望めない。

だから、NPOから政治家への転身は、

NPOから他業種へ移り、人並み以上の富と名声を得る、ほとんど唯一の方法」と表した方が近い。

他に聞いたことがあるのは、せいぜい大学教授ぐらいか。

ただ革新系の政党や、現与党でも若手を中心に、政治家と話す機会が多いのは確か。

当時20代半ばの若造だった自分ですら、某政党の県代表、地元選出の国会議員

さらには元大臣から直接貰った名刺がホルダーの中にしまってある。

裏を返せば、NPOから政治家への道は現時点でも大渋滞の中。

今からこの道を進んだとしても、「先輩」達を押しのけて、勝ち残らなければならない。

政治家になるということ自体が細い道だというのに。

ちなみに自分はまだ年齢的にそこまでは達していなかったことと、

学生時代に取得した資格が効いたことで、今は一般企業に拾われている。

決して彼は一般的なNPOの姿ではない

もちろん、NPO事態を経営的に上手く回して、

金持ちとは言わなくとも、そこそこの功名と財を成した人はいる。

ただ、その大半はたまたま好きなことに熱中していたら、

たまたまものすごくマッチョな人で、たまたま経営的に上手くいった人。

元記事のブクマで多くの人が感想に挙げたような、

社会寄生虫として肥えた太ったNPO」はごく一部の例外。

失礼ながら、むしろ企業でそうなっているところの方がよほど多いハズ。

なんだかんだで元記事主は能力と行動力にあふれたマッチョなんだろう。

ただ、彼は決して一般的なNPO関係者の姿ではない。

大半のNPOは、地道に、まっすぐ、自らの「想い」を果たすことのみを目指している。

それゆえに経営的なコトを見てなかったり(見る必要すら気づいてなかったり)

想いというより思いこみになってるところが多いんですけど。

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