2008-06-12

あの秋葉原殺人犯って、案外、フツーの人だね。

ニュースを見ていた。犯人がいかにイカレた人間で、イカレたNET上でおかしな事を発言し、アニメネットオタクは危ないだの、ナイフを規制しろだのと言っている。犯人の生い立ちや最近の言動なども紹介され、キチガイ青年だと言わんばかりに不安を煽る。

一通りのニュースを見て、一緒に見ていたお袋とカミさんがどちらともなく言った。「なんか別に、フツーの人っぽいね」「とんでもない人物のように言われているけど、殺したりした事を除けば、他はそこらへんにいる人と同じじゃない?」びっくりした。

実は、自分も同じように考えていた。自分はあの犯人とは今でこそ違うが、犯人と同じ年齢の頃は、考え方や言動などはほとんど同じだ(自分は今34歳)しかし、その思いをクチに出す事はしなかったが、自分を見てきたお袋やカミさんは同じ臭いを嗅ぎ取ったのかもしれない。

ワープア状態だったのも同じ、趣味嗜好もきっと同じ、派遣で全国転々としてたのも同じ、会社を恨み、社会を恨み、モテなくて悩み、ささいな事でキレたり、つまらない事でトラブルを起こしまくっていた。契約更新時や終了間際の時には特に酷かった。ぎりぎりで警察沙汰にならない程度の酷い人間だった。

でも、自分と犯人と違うところは、親を恨んでいない、親友と呼べるやつが数人いる、こんな俺を哀れんで母性本能がちょっと勘違いしちゃった彼女がいたこと。もちろん、殺人などしないが、今はたまたまそうなっていないというだけで今後は解らない。きっとしないけど。

ナイフだって持ってた。スタンガンも持ってた。使うような事は無かったけど、たまに眺めたり、パチパチ動かしてニヤニヤしていた。ナイフは両刃のやつで、人を殺す用途のナイフだ。会社人間を殺す空想もしたりしてた。確実に殺すためにはどこを刺せばいいかとか考えたりした。

爆弾の作り方とかもネットで調べてチェックしていた。材料1つ1つをどこで買ってくればいいかなどもチェックした。いざとなれば俺はあの会社を爆破できるぜフハハハなどと、1人で口走った夜もある。生意気な女性事務員をどうにかしてやろうとも考えたりした。

今、書いていても恐ろしい。とんでもない事ばかり考えていた。しかし、実行に移す事なんて無かった。仕事は嫌い、会社人間も嫌い、何もかもが嫌だったけど、犯罪には走らなかった。実行する動機なんていくらでもあった。何かきっかけがあったら突っ走っていたかもしれない。

何もかもが嫌な時期があったけど、旨い酒が飲める友人がいたり、しょうもない自分を受け入れてくれる彼女がいたり、たまに実家に帰っても、親として聞きたい事、言いたい事がたくさんあったと思うが、黙って見守ってくれたお袋がいたから、救われたのであろうか。

自分はあの殺人犯にかなり近い所まで行っていたはずだ。ほとんど変わらない人間だったはずだ。しかし、今はいろんなめぐり合わせ、運などによって、就職し、結婚し、もうすぐ子供も産まれる。昔からしたら、今の自分が想像できないくらい、幸せな事になっている。

どこの何が分かれ道だったのか解らないが、あるときから様々な事が好転していった。自分は何も変わっていないのに、自分の周りが世話を焼いてくれた。いつのまにかナイフもスタンガンもどこかに行ってしまった。爆弾製造法ブクマもどこかに消えた。

まわりが変わっていったら、自分もそれに合わせて変わって行った。自然と。良い事が良い事を産んで、巻き込んで大きくなっていった。でも、自分で良くしようと思ったわけじゃない、周りが俺の為になんとかしようとしてくれたという訳でもない、なんとなくそうなっただけ。

なんとなく、そして運、そういう流れ、成り行きで、たまたま良い流れが出来て、なんとなくその流れに乗れた。なんとなく。そんな感じなので、努力したり、頑張って今の状況になった訳じゃない。だから、あの殺人犯のように追い詰められてしまう状況になる可能性も十分にあったはずだ。紙一重。

あの殺人犯には厳罰を与えるべきだ。極刑だ。どんな事情環境があったにせよ、許されない行為を行った。

もう1つ考える事がある。俺だけじゃなくて、あの殺人犯と自分自身を比べて見る事だ。いったい彼と何が違う、どれだけ違うだろうか。仮に全く同じだったとしても、ほとんどの人は凶行には走らないだろう。同じ状況だったとしても、たんに次の職場を探すだけだろうし、よくないケースにしても自殺などで他人様に迷惑をかけたりはしないだろう。

自分ではそんなことはしないと思えるだろうが、もしかしたら、あの殺人犯と同じような行動を起こす奴が何人か出てくるかもしれないと想像はできる。そう、あの事件のようなものはいつかまた別の形でいつか起こりえるのだ。どっかの誰かがやってしまうのだ。

あの殺人犯を甘えだの自己責任だのと批判するのは簡単だ。派遣がどうだとか、ナイフがどうの、ネットがどうのってのも的外れに思える。今の自分自身と重ねて考えて見る事が重要なのではないか。それを考えた上で、批判より、対策を考えなければならないのではないか。甘えだの自己責任だのと叩いている人達の一部が危ない水域に片足突っ込んでいるように見えて仕方が無い。

昔の自分と同じように危険水域にいながら、なんとか踏みとどまっている人はたくさんいると思う。政治家公務員殺人こそ犯さないものの、犯罪やりまくってもお咎めなし、危険水域を踏み越えても余裕で楽勝という世の中でありながら、踏みとどまっている人はたくさんいる。かろうじて助かってる人がたくさんいる。あの殺人犯も、事件を起こすまではいいやつだったに違いない。みんな犯罪なんて犯したくないんだ。それでも踏み越えてしまう奴は出てくる。なんとかしてえが俺には何もできない。

この地球のどこかに、麻薬密売とか殺し屋などといった商売でもしないと暮らしていけない国があるという。

日本が、過労死自殺派遣工の3択しかないような国になりませんように。

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