タキシードに蝶ネクタイ姿の女子高生が廊下をゆっくりと歩いていく。
純白のドレスに身を包んだおとこおんな、こと、僕がそれに続く。肩には稠密な細工のショールを羽織り、足元には大きく開いたヒール。
二人は、玄関の奥の間にあたる、大広間に向かっている。
何がなんだか分からない。
今日の朝、お嬢さんの様子がいつもと違っていた。朝のショッピングのとき、おばあさんが彼女と仲良くしてほしいと言った。夕方の迎えで、僕が運転手をするようになってから初めて、お嬢さんが友達を連れて帰った。
これらの事実から、どのようにして今の状況を導き出すことができるだろうか。
たとえば、女子は20歳まで男として育てられるという風習があって、ただし普段は普通に過ごしていて、たまに親戚が集まるときだけ仮装している、というのはどうか。いや、これでは僕の女装の説明がつかない。
たとえば、お嬢さんにはいささか倒錯した趣味があって、実は高校にも男装して行きたかったけれど新参の運転手に言い出せなくて我慢していて、カミングアウトする機会をうかがっていた、というのはどうか。いや、ないだろ。常識的に考えて。
僕は思い切って口を開いた。
「あの、お嬢さん」
彼女が足を止めた。
「質問してもいいですか」
彼女は振り返って
「どうぞ」
と、少しだけまゆをひそめて、許可を告げた。
ええと、どこから訊いたものか。倒錯趣味コンプレックス説を考慮するなら、なんでそんな格好してるんですか、と訊くのは、まずい気がする。もっと間接的な言い方をしないといけない。というか、その説は忘れろ、自分。
「今日は、何かあるんですか?」
僕がそう言うと、彼女は、しばらく黙って不思議そうにこっちを見ていた。
「ああ、あなたは何も知らなかったのかしら」「はあ。まったく分かりません」
「おばあちゃんが話していると思っていたから……ごめんなさい」
といって、彼女は少し間をおいた。
「これから、仮装パーティをするの。私たち家の者、働いている人、みんな来ることになっているわ」
「あと、お招きした人たちも」
仮装パーティ。僕の妄想と比べれば常識的な答えだった。要するにお遊びでお嬢さんたちが変装する、それに使用人も混ぜてもらっている、ということらしい。
「パーティをするのは、楽しむために決まっているわ」
「じゃあ、行きましょう」
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他の書いてた人、いなくなっちゃったかな?
誰か続き書いてください。
難しかったら、戻って分岐(やり直し?)してもいいですよ、きっと。
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随時載せたいと思います。 http://b.hatena.ne.jp/entry/2035547
古い閂を外し窓を開ける。木々の擦れ合う音と北側の森から吹き下ろす少し冷えた風に包まれ、蒸れた空気に汗ばんだ肌を冷ます。 いや、この汗は屋根裏の暑さだけではないだろう。 ...
みんな忘れてるみたいなので晒してみる。 続きがきになるんだよぉータイトル考えてみたからさー http://anond.hatelabo.jp/20070315145617 http://anond.hatelabo.jp/20070315220748 http://anond.hatelabo.jp/200703161...