2007-03-17

anond:20070316154131のつづきだけどanond:20070316151244が混ざってた

徐行速度で門を抜けると、屋敷の雰囲気が、どこかいつもと違うような気がした。

もうライトをつけないといけない時間になっていたからだろう、と僕は思った。こんな時間に運転するのは慣れていない。

隣に目を向けると、元気な方の子がしげしげと前庭を眺めている。ときどき軽く感嘆の声を上げたりもしている。

この子もどこかのお嬢様らしいけれど、わが屋敷の庭園はそれほど特別に見事なのだろうか。庭園担当のおじさん(もっとちゃんとした職名があると思うけれど)の丁寧な仕事ぶりは、よく知っている。庭そのものの良さは、残念ながら、僕にはよく分からない。

車を玄関につけると、元気な方の子がドアを開けて出て行った。続いて後ろでも、カチャっと音がする。いつもなら僕が後部座席のドアを開けることになっているが、今日はその必要はないらしかった。

玄関前に上がった三人に、僕は軽く会釈をする。そして車を出そうとすると、お嬢さんが一言、

「それを身に着けておいて」と告げた。

一瞬何のことか分からないでいると、彼女トランクに目をやる。そこには、ブティックで受け取った大きな袋がある。まだ中身は見ていなかったが、大きさからしてTシャツ一枚ということはなさそうだった。

「夕食のあとにここに来なさい」それだけ言って、彼女は僕の返事を待たずに玄関に入っていく。

残りの二人も僕の方を見ていた。元気な方の子が意味ありげににやりと笑い、静かな方の子はなぜか手を振ってから、お嬢さんについていった。

これは何か恒例のイベントなのだろうか。

そしてどうやら、その趣旨を理解していないのは、僕だけらしい。

残された僕は、車を止めたまま呆然としていた。

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へたれでごめん。次の人に期待。

記事への反応 -
  • 「ありがとう」といって後部座席から出て行った彼女の声は、いつもより少しだけ弾んでいた気がする。 始業時間に近いから、校門を通る生徒は途切れることがない。僕が高校生のとき...

    • トントン、と窓が叩かれる音で目を覚ました。フロントガラスの向こうには夕焼け空。女子高生たちが三々五々、帰宅の途についている。お嬢さんを待つあいだに眠ってしまっていたらし...

      • 静かな車内なのに、会話の声は思ったより聞きづらかった。内緒話でもしているのか?気になってバックミラーから後部座席を覗こうとした。そのとき。 「……ブレーキ!」 お嬢さんが急...

        • http://anond.hatelabo.jp/20070316134620 http://anond.hatelabo.jp/20070316132834 ダブったな。 まぁでも結果は同じだからマージしちゃえばいいか。 -- 「え…、ここは…」 お嬢さんが止めてといった場所は...

          • 一時間ほど経っただろうか、やっと三人が戻ってきた。相変わらず楽しそうだ。笑顔のお嬢さんをみるのは初めてじゃないだろうか。 僕は外に出て後部座席のドアを開ける。途中から小...

            • 徐行速度で門を抜けると、屋敷の雰囲気が、どこかいつもと違うような気がした。 もうライトをつけないといけない時間になっていたからだろう、と僕は思った。こんな時間に運転する...

              • みんな忘れてるみたいなので晒してみる。 続きがきになるんだよぉータイトル考えてみたからさー http://anond.hatelabo.jp/20070315145617 http://anond.hatelabo.jp/20070315220748 http://anond.hatelabo.jp/200703161...

              • 夕食のあと、すぐに自分の部屋に戻って、例の服を取り出した。僕は固まってしまった。袋から取り出したるはフリフリでフワフワのピンク色した素敵なドレス。お嬢さんは「それを身に...

                • 随時載せたいと思います。 http://b.hatena.ne.jp/entry/2035547

                • 僕がこのふりふりのドレスの着付けに悪戦苦闘していると(背中にファスナーがあるのは着ぐるみとドレスくらいのものだと思う)、お嬢さんの友達二人がやってきた。ちょっと待ってくだ...

                  • タキシードに蝶ネクタイ姿の女子高生が廊下をゆっくりと歩いていく。 純白のドレスに身を包んだおとこおんな、こと、僕がそれに続く。肩には稠密な細工のショールを羽織り、足元に...

                    • しかし、その歩みを立ち塞ぐ男が現れた。 堂々たる体躯に甲冑をまとい、背の丈の倍はあろうかと思われる十文字槍をりゅうりゅうとしごいている。 いかつい顔の半分は顎髭に覆われ、...

                      • 「はい、ありがとう」 お嬢さんがそういうと、男の眼から生気が消えた。 早く通って、と言われて、裾を踏んづけそうになりながらあわてて男の横を通り抜ける。 「いったいアレは…...

                        • 先ほどの部屋もそう明るくはなかったが、こちらの部屋も薄暗いなあ。あれはランプだろうか。それにしてもこの床は絨毯なのかなんなのか、ものすごくふわふわする。羽毛布団でも敷物...

                          • http://anond.hatelabo.jp/20070326124145 ああ、つまりは夢だったわけだ。 もしこの夢、というかこの展開を誰かが見ていたら「それなんてエロゲ」としか言いようのない夢をみていたわけだ。 天...

                  •  匿名チャットです。ここでは何を発言しても許されます。のんびりまったりするもよし、真剣に議論するもよし、気にくわなかったら荒らしたっていいんです。 http://anond.hatelabo.jp/?page=...

              • 古い閂を外し窓を開ける。木々の擦れ合う音と北側の森から吹き下ろす少し冷えた風に包まれ、蒸れた空気に汗ばんだ肌を冷ます。 いや、この汗は屋根裏の暑さだけではないだろう。 ...

      • こちらのお話にも、ちょっと聞き耳を。 カランカラン♪

        • http://anond.hatelabo.jp/20070316125157 メズラシイーデスネ。 土曜日 ノ アバンティ ハ アシタ デスヨ。

      • 「できればあの子と仲良くしてください」 とおばあさんは言っていた。もちろんです。と僕は答えたけれど、あまり自信はない。バックミラーに映る彼女たちはずいぶんと盛り上がって...

      • そこはいわゆるブティックと呼ばれるようなお店だった。 ファッションに興味がない僕にとっては縁のないような場所だ。 お金持ちはやっぱ違うなどと考えていると「あなたも降りるの...

      • もっと良く考えればわかる事なのに、なんでそうなるかな。順を追って説明するから、以下の文章をよく読んで考えて欲しい。ちょっと長いから時間のあるときに読んでね。僕は日本人じ...

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