「あづい…」
今年は馬鹿みたいに暑かった。地球と太陽の距離が近づいたんじゃないかってくらいに暑く、蝉も暑さが嬉しいのか、ここぞとばかりに鳴きまくり、その声が止むことはなかった。止むことのないその声が頭の中で鳴り響き、余計に暑さは増して、ますます太陽が近づいた。このままじゃ北極の氷が溶けるどころか、海が蒸発してしまうのではないだろうか。そんな具合にあたしが近づく太陽と地球を憂いているっていうのに、それなのにこいつは―えみは―
「そうね、暑いわね。」
どうしてこんなに涼しい顔をしているのだろうか。
「あーづーい!」
「さっき聞いたわよ。だから言ったじゃない。暑いわねって。」
「全然暑そうじゃないじゃないか!」
「そう?これのおかげかしら。」
小さい口から紅く可愛らしい舌を出す。その上には少し溶けた氷が乗っていた。えみも初めのうちはかき氷にして、氷を削って食べていたのだが、元々無精者なえみのこと。次第に削るのをやめ、氷とシロップを直接口に放るようになり、最近では氷だけを食べるようになっていた。
「そんなのが効くのかよ。」
「あら、結構効くのよ。」
「本当かよ。大体氷だけじゃ味がないだろ。」
「そんなことないわよ。」
「はいはい。」
「信じないの?じゃあ―」
「え―」
顔を上げようとしたがそれは叶わなかった。顔を上げる前に唇を塞がれたから。あたしが驚き、途惑っていると、えみが舌でツンツンとノックしてきた。その動きに、唇を少し開けると、いつものように舌が入ってきた。ただ、いつもと違ったのは、舌がひやりと冷たかったのと、さっき見た氷が一緒に入ってきたこと。その冷たさに気持ちが落ち着くのを感じていると、またえみの舌がノックしてくる。氷を寄越せと言いたいようだ。仕方なくさっきより溶けた氷を舌に乗せてえみの舌へと送る。しかし、一度冷たさを味わった舌は涼を求めたがり、今度はあたしが寄越せと舌でノックする。そんなやり取りを何度繰り返しただろう。不思議と蝉の声は聞こえなかった。それどころか、何も見えなかったし、何も聞こえなかった。そこにはあたしとえみと氷しかなかった。そうして溶けかけた氷が溶けきるまで、あたしたちは、二人だけの世界で、交換し続けた。
「どうだった?」
えみはいつもの笑顔で聞いてくる。返答はすぐに思い浮かんだが、それをこれから言うことを考えると、とてもえみの目を見れそうになかった。けど、他には何一つ思い浮かばなかったし、それしかないと直感で思ってしまったから、やはり言うしかないのだろう。そしてあたしはえみの目から少し下へと目線を逸らし、多分えみの舌より紅くなってるだろう、あたしの顔を隠すように、ぽつりと言った。
「えみの味がした…」
男女かなあ 男っぽい言葉遣いの女の子が主人公な百合ものだったら萌える
いいか、落ち着いて聞いてくれ。 「あたし」と「えみ」の話だ。
わかりづらくてすいません。女女です。とりあえず、私からあたしに修正しました。でも、わたしのがいいかなって気もするので、また変わるかもしれませんが、女女です。百合です。大...