2007-02-06

コーヒーにまつわる苦い話

祖母はコーヒーが大好きだった。

実際は俺がサイフォンで淹れる作法が好きで、いつも「一杯貰ってもいいかい」

と言ってきて、それに応えて喜ばれることは俺にとっても嬉しいことだった。

高校生だったある日、学校から帰ると従姉妹が遊びに来ていて、

俺の姿を見た祖母は、「コーヒーを淹れてくれないか」と声を掛けてくれた。

部活でヘトヘトになっていた俺は無造作インスタントコーヒーを出してしまったが、

従姉妹とインスタントコーヒーの前でニコニコ笑いながら「ありがとう」と言って

くれる祖母に、何の疑問も持たなかった。

ばあちゃん、気の利かない孫で本当にごめん。

ばあちゃんにコーヒーを淹れてあげることはもうできないけれど、

俺はおいしいコーヒーみんなに淹れているよ。

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