祖母はコーヒーが大好きだった。
実際は俺がサイフォンで淹れる作法が好きで、いつも「一杯貰ってもいいかい」
と言ってきて、それに応えて喜ばれることは俺にとっても嬉しいことだった。
俺の姿を見た祖母は、「コーヒーを淹れてくれないか」と声を掛けてくれた。
部活でヘトヘトになっていた俺は無造作にインスタントコーヒーを出してしまったが、
従姉妹とインスタントコーヒーの前でニコニコ笑いながら「ありがとう」と言って
くれる祖母に、何の疑問も持たなかった。
ばあちゃん、気の利かない孫で本当にごめん。
ばあちゃんにコーヒーを淹れてあげることはもうできないけれど、