2024-04-15

anond:20240415081622

 床は一面の黒い、大理石のようなタイルだった。そして私の2倍は高い大きな窓が、ずっと向こうまで、50m走ができそうな程の遠くまで続いている。

 壁際には大小さまざまな観葉植物が置かれている。ポトスパキラ、大きなアレカヤシ……それらは無数の名前も分から植物たちとともに、青々とした葉を茂らせている。窓の外でも同様で、そのためにここは熱帯雨林様相を呈していた。

 こんな風呂場には入ったことがない。私は言いしれぬ開放感に満たされる。まるでジャングルに住む、野生の人間として生まれ変わったような気分である。いま、私は都市規定から解き放たれた。

 中央の浴槽へ向かう。20歩ほどの距離にあるそれは、意外にも平凡なユニットバスのそれであった。足を伸ばせるほどの大きさがあればそれで良いということだろうか?この浴場の豪奢さに不釣り合いな合理性倹約を見せられ、私はやや鼻白んだ。が、窓の外の雄大熱帯雨林への興奮を打ち消すほどではない。

 天井から物干し竿とハンガーが吊り下がっている。私は手に持っていた迷彩柄のトランクスピンチに挟んだ。するとどうだろう。そのトランクスからは絵の具のように赤い液体が、一本線の形をとって浴槽の湯に落ち、溶け、広がっていく……

記事への反応 -
  • 風呂のサイズが変わっただけで、ここまでQOLが上がるとは思わなかった 中古マンションを買ったのに伴い、風呂場の広さが1317から1620になったんだが、風呂が楽しみで仕方がない 今まで...

    •  床は一面の黒い、大理石のようなタイルだった。そして私の2倍は高い大きな窓が、ずっと向こうまで、50m走ができそうな程の遠くまで続いている。  壁際には大小さまざまな観葉植...

    • ワイはいつでも足を伸ばせるやで(省エネサイズ)

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