2022-12-24

貸してた本が返ってきた。

あの人はふだんから本を読むような人ではないから、読むペースは俺と比べると遅かったけど、それでも毎日少しずつでも本の話ができるのは嬉しかった。

クリスマスイブイブを一緒に過ごせたのは嬉しかったけど、はしゃぎすぎた俺は思わず気持ちを口に出してしまった。もちろん丁重お断りされたけど。

そして今日の朝、俺の机の上には、一枚のメモとあの人に貸した本が置いてあった。

「〇〇さんへ 昨日はすみません これ返します、面白かったです」

本を開いてみると、後半のページに栞が挟んだままになっていた。最後に読んだと話していたシーンで物語は止まっていた。

最後まで読んでいないじゃないですか

ああ、あなたはもう俺とは話してもくれないのですね。

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