2022-08-17

たまには換気もせにゃなるまいとエアコンを止め、窓を開けて外を眺めていた。

絵になるような田舎ではないものの、遠く川沿いの小道で今どきクラシック夏休み少年たちが魚釣りに興じているのが見えた。

道にはうっすらと陽炎が立ち、夏の日差しの中で彼らの姿は少し揺らめいていた。

その様子をぼんやりと見つめながら、ちょうど20年ほど前、まさしくあの場所自分いたことを思い出した。

そうだ、あの水門の脇にはポイントがあって、ナマズやらウナギやらがよく釣れるのだ。ちょうどいい日陰もある。

……ひょっとして自分はまだあそこにいて、たまたまこのむさ苦しい部屋で燻っている誰かと入れ替わってしまったんじゃなかろうか。

20年前の夏も、燻る誰かが遠くから自分のことを眺めていたのだろうか。

あの少年もいつか、誰かを遠くから眺める側になるのだろうか。

窓を閉め、再びエアコンスイッチを入れると、部屋に冷気が降りてきた。

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