2022-06-06

共鳴

 十数年前、一つの敷地内に建つ六棟の戸建賃貸住宅のうちの一軒に住んでいた。それらの戸建住宅は三軒ずつ二列に並んでおり、両列の住宅のドアは向かい合いになっていた。

 そのため、片方の列の住宅のドアを開閉すると、真向かい住宅のドアが共鳴し、まるで本当に開閉されたかのように「ドンッ」と音を立てた。それに初めて気づいた時、中学理科の授業でやった音叉実験みたいだと感動した。

 ところでさっき、寝転んで本を読んでいると、隣の部屋で配偶者が豪快に放屁したのだが、その瞬間、私の肛門が屁をこいた時のように僅かながら振動した。

 部屋を仕切る襖は全開になっており、私と配偶者たまたま、点対称となる姿勢で横になっていた。

 そんな事もあるんだなとちょっと感動したが、その感動と配偶者放屁に対する苦情は心の中に仕舞っておいた。

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