2020-06-03

有限体って何?

位数が有限な体のことです。

定義

集合Fに二項演算+: F×F→Fが定義され、以下の性質を満たすとき、Fは群であるという。

  1. 任意のa, b, c∈Fに対して、(a + b) + c = a + (b + c)
  2. ある元0∈Fが存在して、任意のa∈Fに対して、a + 0 = 0 + a = a
  3. 任意のa∈Fに対して、ある元-a∈Fが存在して、a + (-a) = a + (-a) = 0

Fの元の個数をFの位数という。

上に加えて、さらに次の性質を満たすとき、Fをabel群という。

  • 任意のa, b∈Fに対して、a + b = b + a

Fが環であるとは、2つの二項演算+: F×F→F、*: F×F→Fが定義され、以下を満たすことである

  1. Fは、+を演算としてabel群になる
  2. 任意のa, b, c∈Fに対して、(ab)c = a(bc)
  3. 任意のa, b, c∈Fに対して、a(b + c) = ab + bx
  4. 任意のa, b, c∈Fに対して、(a + b)c = ac + bc
  5. ある元1∈Fが存在して、任意のa∈Fに対して、1a = a1 = a

Fが環であり、さらに以下を満たすとき、Fは可換環であるという。

Fが環であり、さらに以下を満たすとき、Fは斜体または可除環であるという。

  • 任意のa∈F\{0}に対して、あるa^(-1)が存在して、aa^(-1) = a^(-1)a = 1

Fが可換環であり、斜体であるとき、Fは体または可換体であるという。

基本的定理

位数有限な斜体は、可換体である。(Wedderburn)

有限体の位数は、pを素数として、p^nの形である

逆に、任意素数pと自然数n≧1に対して、位数p^nである体が同型を除いて一意的に存在する。q=p^nとして、この体をF_qと書く。


  • pを素数として、整数をpで割った余りに、自然加法乗法を入れたものは、有限体F_pになる。
  • F_pに、F_p上既約な多項式の根を添加した体は有限体になる。逆にq=p^nとなる有限体F_qはすべてこのようにして得られる。
  • F_pの代数閉包Fを固定すると、F_q (q=p^n)はFの元のうちx^q=xを満たす元全体である

有限体の代数拡大

有限体F_qの有限拡大はF_(q^m)の形。

これはすべてGalois拡大であり、そのGalois群はFrobenius準同型

φ_q: x→x^q

で生成される位数mの巡回群である

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