2019-10-18

創作寓話先住民ナイフ

その民族は、生まれた時から自分だけの一つのナイフを身につけるのが習わしでした。それはその人の魂そのものであり、誇りであり、誰もが常によく研いだそれを誇示していました。一方で、魂であるそれを穢すことは何よりの恥辱であり、それを用いて命を傷つけることを死よりも恐れていました。

ある時その地に移民がやってきました。移民先住民たちに銃を突きつけると、武器を捨てるよう言いました。先住民たちは手に持った槍や弓矢を置きました。しかナイフは身につけたままです。なぜなら、彼らにとってナイフ武器ではなく魂の証だからです。

移民ナイフも捨てるよう言いました。先住民は訴えました。

「これは我々の魂です。それを捨てろと言うのですか?」

移民は驚きました。

刃物が魂なんて野蛮だ。すぐに人を刺したくなるだろう」

先住民は言いました。

「ではあなた方は銃を手放した方がいい。すぐに人を撃ちたくなるでしょう」

移民はそれを聞いて、先住民を撃ちました。

「奴は我々から武器を奪おうとした。やはり野蛮で危険な連中だ」

記事への反応(ブックマークコメント)

ログイン ユーザー登録
ようこそ ゲスト さん