その民族は、生まれた時から自分だけの一つのナイフを身につけるのが習わしでした。それはその人の魂そのものであり、誇りであり、誰もが常によく研いだそれを誇示していました。一方で、魂であるそれを穢すことは何よりの恥辱であり、それを用いて命を傷つけることを死よりも恐れていました。
ある時その地に移民がやってきました。移民は先住民たちに銃を突きつけると、武器を捨てるよう言いました。先住民たちは手に持った槍や弓矢を置きました。しかしナイフは身につけたままです。なぜなら、彼らにとってナイフは武器ではなく魂の証だからです。
「これは我々の魂です。それを捨てろと言うのですか?」
移民は驚きました。
「刃物が魂なんて野蛮だ。すぐに人を刺したくなるだろう」
先住民は言いました。
「ではあなた方は銃を手放した方がいい。すぐに人を撃ちたくなるでしょう」