2010-07-18

消費税と輸出補助金

消費税の税率上げの話が上がったせいで、また輸出戻し税の問題も再燃してるみたいだけど、

消費税の負担者とは一体誰なのか、ということは、改めて議論する価値はあると思う。

現在消費税は、消費者に何かを販売した業者が、税込販売額から仕入額を引いた粗利額(便宜的にそう呼ぶ)

の中から一定の率で納税するという、販売税のような形態をとっている。

取り方だけを見れば、戦前事業税に近い外形課税のような性質の税金だ。

だからこそ、ごまかしが効きにくいし、累進性も利かない。所得税法人税がかなり複雑

かつ脱税インセンティブが高いものになってしまっていることを考えると、存在意義はないとは言えない。

戦後シャウプ勧告あたりでは甘えたこと言わずに直接税でちゃんと賄えと一喝されて長いこと鳴りを潜めていたようだが)

しかし、なぜ販売税でなく消費税という名称になっているのか、という事に思いを巡らせると、また違った事情が見えてくる。

輸入品に関税消費税がかかる一方で、輸出品には消費税は課されない。二重取りを避けるためだそうだ。

その結果、製造業においては、次のような現象が起きる。

部品メーカー→(部品価格消費税額で取引)→輸出品メーカー→(製品価格消費税額で取引)→国内顧客

部品メーカー→(部品価格消費税額で取引)→輸出品メーカー→(製品価格で取引)→海外顧客

国庫→    (仕入の消費税分を還付)  →輸出品メーカー

消費税をなかったことにしている、というのだが、輸出品メーカー部品を仕入れて「消費」することで製品を作っていると考えると、

仕入分の消費税を免除されるのは奇妙な話だと思う。

結局、消費税の負担者を最終消費者とみなして課税額を算出する、という事自体、かなり困難な話だったにも関わらず、

上記の構図を実現するために「消費税」にせざるを得なかったのではないかと思う。

そして、輸出品メーカー国内仕入を相対的に割引で購入させるということは、輸出品メーカーに対する補助金であると同時に、

海外部品よりも国内部品を購入しやすくすることによって、国内部品メーカーを選択しやすくさせるという効果も期待でき、保護貿易的な税制の側面もあると思う。

なので、保護貿易をやりたいという目的消費税を上げるのであれば、逆進性が問題になる部分で給付を実行すれば、ひとまずは目的達成できるという風に見ることができる。

菅総理の「消費税増税年収に応じた還付」云々という発言の背景にはこういう思惑があるんじゃないかと思うのだが、小野義康氏の指南にはこういうのも含まれていたのだろうか。

少し前からウォッチしていたものとしてはとても気になるところなので、エントリ書いてみた。

読んでくれた人は有難う。

そして、ツッコミ、指摘、参考リンク歓迎しますので、何かあればぜひ貼って下さい。

  • 結局、消費税の負担者を最終消費者とみなして課税額を算出する、という事自体、かなり困難な話だったにも関わらず、上記の構図を実現するために「消費税」にせざるを得なかったの...

    • バーナンキの背理法とかなんとか、経済の人は極論トンデモまがいになりがちなのはなぜなのかねー

      • 小野理論が「トンデモ」なのは経済学者の大半で一致した見解なんで、許してやってくれよ。(まあ小野氏は「小野理論」以外のところでは細かいところで地味にいい仕事もしてるんだ...

        • 研究にトンデモは必要だよ。 逆にトンデモな研究とか金の無駄、とっとと就職予備校にしろ!っていう人は大学に合わないから高卒で就職すべきなんだよ。 日本人実益求めすぎネー。 ...

          • おう、そのとおりだよ。トンデモな仮説があってこそ学問は進歩するもんだ。学問としてはトンデモは別に悪くない。 ただ問題は経済学の場合、そのトンデモ説を拾って現実に応用でき...

            • 現実に応用できる、、、ならトンデモじゃないんじゃないの?w よくわからないけど。

              • いや、適用はできるけどさあ、なんせトンデモだからたぶん期待した結果は出ないんよ。 ゲーム脳だって、それを適用して、現実にゲーム規制とかできるだろうけど、その結果として「...

              • 応用できる、というか無理やり応用しちゃうんだよね、極論のままで。 で、金融破たんとか起きちゃう。 学者の世界はインパクト重視だから、うのみにしちゃダメなんだよ。

              • 応用できる、というか無理やり応用しちゃうんだよね、極論のままで。 で、金融破たんとか起きちゃう。 学者の世界はインパクト重視だから、うのみにしちゃダメなんだよ。

      • 社会学の中じゃ、一番科学としてしっかりしていて、方程式とかばりばりいじってるからなあ。 でもって数式が出した答えだけ見ると、「おいおいw」になっちゃう。 自然科学だと観測...

        • 数式使えば科学としてしっかりしてるってのはどうかと 科学は再現とか検証がしっかりしてることの方が大事じゃないか

          • その再現と検証をやるには、数字、数式で表現できないと駄目でしょ? ケースAは「すごくおいしかった」、ケースBは「そこそこおいしかった」のレベルだと科学として未熟。 言葉でも...

            • 定量化することは大事だけど、なんのためになにを定量してるのか忘れると、現実からどんどん離れていく コレジャナイロボになるってことだねえ

              • そういうことです。 社会科学の中では、一番定量化が進んでるけど、時々再現・検証のために数式化してるのを忘れてトンデモを産んじゃってるのが経済学ですw

    • 消費税増税での逆進性緩和は必須だよな? その方法として消費税には還付の仕組みがすでにあるから、これ利用しましょう、ってのは自然な発想でとりたてて「思惑」とか大げさに言...

  • 民主党が保護貿易を推進するつもりだったならアメリカとのFTAとかマニフェストに入れないはずでは?小野理論も保護貿易しろとか言う理論でもないし。

    • 輸出促進はそれだけで、保護貿易を意味しないだろ。 間接的な輸出促進補助金はほぼ全ての先進国がやってる施策だよ。むしりアメリカのような自由貿易推進派の方が力を入れてるよ。

      • アメリカがほかの先進国と比べてそう足して気に自由貿易はだからといってやってることが全部自由貿易的な政策とはいえない。輸出促進用の補助金や税優遇だって資源配分をゆがめる...

        • もちろんそうだよ。アンタみたいな判ってるっぽい人がわざわざ何書いてるんだ? 判ってない奴に 「今時の自由貿易推進国は、間接的な輸出補助程度の保護貿易的政策は許容するのが普...

          • 先進国で許容するのが普通だからといって、小野理論や消費税増税が輸出促進のため(と民主党が思ってる)というのが正しいことにはならないと思うが。小野理論の内容を知ってたら...

記事への反応(ブックマークコメント)

ログイン ユーザー登録
ようこそ ゲスト さん