2010-02-23

一体、この国は農業をどうしたいんでしょうね

ttp://d.hatena.ne.jp/pal-9999/20090410/p1

あのね。農業大変だっていう人がいますが、それだったら、なんで農家の8割が兼業農家なのか、考えた人っています?兼業農家って、農家仕事の他に、普通仕事もしてるわけですよ。なんでそんな事ができるか?とか。大変な仕事なら、そんな事できるわけでないでしょ。二足のわらじなんてさ。

あのね、なんでこんな兼業農家が多いかっていうとね、片手間で出来ちゃう農業があるんですよ。米、大豆、小麦が代表的ですが。

米は、10aあたりの農業所得が大体3万円。10aあたりの農業労働時間は29時間なわけです。たった29時間なんですよ。たったね。それだけの労力で10aくらいの稲作なら出来ちゃうんです。無論、農業所得も少ないですから、これだけじゃ食えませんがね。片手間で出来ちゃうから、兼業農家なんてのが生まれちゃうわけです。

米、小麦、大豆なんかの農作物は、土地利用型作物とも言われます。農作業が機械化されてて、単位面積あたりの労働時間が短く、農業所得が少ないのが特徴ですがね。こういう農作物は、専業でやろうと思ったら、大規模な農地が必要になります。それがないなら、兼業するしかねーわけです。

米とか大豆、小麦なんかは、農作業が大変な部類には入りません。大規模になればそれなりに大変ではありますが、機械化されてるんでそれでも楽な部類なわけです。労働時間自体は対して長い部類じゃないんですよ。

ところが、兼業農家の主要な作物である米にばっか補助金が出るんですよね。一体、この国は、農業をどうしたいんでしょうね。兼業農家って、農作物が不作の時より、不況給料減った時のほうが大変になるような人達なわけで。間接的な給付金でしょこれ。

土地利用型作物ってのは、典型的な規模の効果が効く世界なのに、なんでわざわざ兼業農家に優しい政策をとるのか、僕にはさっぱりわからないや。というか、兼業農家ってほんと農家なの?って疑問をもつ人が増えてもいいと思いますよ。特に米の兼業農家とか。だって、10aの稲作兼業農家なんて、実際には、農作業ほとんどしてないんだもの。

で、農作業が大変だって言う人。野菜果物。花は大変です。あと畜産もね。

なんてかっていうとね。これらは労働集約型作物なんですよ。単位面積あたりの労働時間は長くなるけど、その分、農業所得が多いんです。だから、広い経営面積がなくても経営が成り立つんです。狭い面積の国土しかない日本じゃ、専業農家っていう人達は、ほとんどこれです。

例えば、キュウリトマトは10aあたりの農業所得が90万円あるんですわ。一方、労働時間は600~800時間くらい必要になるんです。栽培管理に手間暇かかるんで、そうなるわけです。

桃やブドウは、10aあたりの農業所得が30万円前後労働時間は200~300時間くらいになります。

花では、バラなんて、10aあたりの農業所得が150万円くらいあいます。労働時間は1884時間くらいになって跳ねあがりますがね。

畜産は、酪農鬼畜です。農業所得自体は、平均713万円くらいで儲かってるように見えますけど、労働時間が半端ない。年間5000時間とも言われる部類です。鶏卵や養豚なんかも5~600万前後農業所得があるんですが、労働時間が年間3700時間とかになります。もうかるっちゃ儲かるんですよ。ただ、生き物相手なんて、労働時間が半端なくなる。農家の平均労働時間の中でも、畜産は特に労働時間が長い。

あのね、日本って国の農業はね。真面目に農業だけで飯を食おうとしたら、大概、狭い面積の農地で勝負せざるを得なくなるんです。だから、基本、専業農家は、野菜果物か花か、畜産みたいな労働集約型作物をやるしかなくないんですよ。で、真面目に農業して儲かっている人達っていうのは、そういう事を真面目にやってる農家なんです。そのかわり、労働集約的なので、労働時間は延びちゃう傾向があるんです。

派遣人達が、どういう場所で働かされたのかは知りませんがね。ただね、真面目に専業で農業やってる人達のとこいったら、そういう人達労働時間に腰抜かして逃げ出しても、僕は不思議には思いませんよ。

特に、酪農農家にいったなら、それこそ死ぬでしょ。このご時世、年間5000時間働きたい奴なんてどこにいますか。朝五時から乳搾りして夜七時まで農場に縛り付けられる生活を、農場主はしてるわけで。それと同じ生活しろなんて言われたら、週50時間しか働いてなかった人なんて、そりゃやってられなくなるでしょうよ。

酪農家なんて、週100時間くらい働く人達なんだから。

そこそこの労働時間でそこそこ稼げる農業やりたいってんなら、そういう作物はあるにはあります。まぁ、農業に就業したいなら、土地借りてそういう作物つくりましょうって事で。レタスとかダイコンとかね。

もっとも、野菜は、食料自給率が高くて、80%くらいあるんですがね、日本でも。結局、真面目にやってる専業農家の人は、狭い面積の耕地でも、やっていけるそういう作物つくってるわけですよ。もっとも、野菜なんていくら作っても、カロリーベースでの食料自給率の向上には役にたたんのですがね。

そういうのが嫌な人は、片手間で米作って、賃労働する兼業農家になっているのが現状の日本農業なわけです。カロリーベースでみると、米や小麦なんかは非常に重要な作物なんですけどね。そういう作物を真面目な農家は作ったりしないんです。だって、経営面積が狭いんだから、経営が成り立たないもん。

真面目に農業やってる人は、カロリーベースでみて重要な作物は作らず、片手間で農業やってる人が、カロリーベースでみて重要な作物を作ってるんですよ、この国はね。麗しい国だと思いますよ、ほんと。

で、この国は、なぜか後者に優しくて、一体、この国は農業をほんとどうしたいんでしょうね。

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