イタリアで日本人ふたりが逮捕され、米国の国債を13兆円とか、持っていたという漫画のような事件があった。揣摩憶測が国際的に拡がった。
これもスパイ小説の読み過ぎが招いた拡大解釈の誤謬が虚実を拡散した、とみたほうが良いかもしれない。
ヘラルドトリビューン紙に偽国債の写真が出ていたが、街の商店街抽選券のような粗末なものであり、景品が冗談か、あるいはきっとマフィアの決済手段かもしれない。なぜなら麻薬犯罪で使われる米ドルのキャッシュは精巧な偽ドルと言われ、闇から闇へ流れ、銀行口座に振り込まれないから闇の世界では永遠に回転している。
この文脈の中でイタリア事件を考えると、そういう犯罪集団の側面もないではない。
だが、もうすこし国際常識に従えば、米国債権は一万ドル以上の券面はなく、最近は電子決済のため、実物が印刷されていない。
発券された偽国債の券面が、500万ドルとか、なかにケネディボンドが含まれていたとか。嗚呼、ケネディボンドなんて発行されたことはないんですがね。
二人の「日本人」は釈放されたのも、軽犯罪の類と見たか、或いは泳がせるためか、あるいは例によって「日本人」を名乗る某国の諜報機関員だったのか。
果てしない類推をよぶ二つの事件である。