自分の大学での専攻が「言語」に関わる分野だったので、一つ一つの話のテーマが染み入るように面白かった。言語学ももちろん科学なので、それを用いて「科学空想小説」を書くことは可能だ。そう言ってしまえば当たり前のことなんだけど、そういう誰も書かないようなジャンルに進んでいきなり「傑作」を書けるところが凄い。
「非線形」言語をテーマにした表題作も面白いけど、それ以外の人文科学をベースにして空想を語るとその外観はほとんど「魔術」になるという確信犯的認識を用いた他の話も秀逸。そして、それが単に「そういうことがウンチクっぽく書かれてる」とか「素材として使われて」というだけじゃなく「プロットの中核部分を為して」いるというところが衝撃的。「72文字」とか、まさに『おおーーーオチをそこに持ってくるのか!』という感じ。
ホント最高でした。